【6月15日 AFP】サッカーコンフェデレーションズカップ2013(Confederations Cup 2013)、ブラジル対日本の開幕戦が15日に迫るブラジルのいくつかの都市でデモが行われ、合計数百人もが逮捕された。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)や同国の経済の中心地であるサンパウロ(Sao Paulo)では、13日の夜から翌日の未明にかけて数千人もからなるデモ隊が大通りを占拠し、公共交通料金の値上げに対して抗議活動を行った。ブラジルの公共交通料金の値段はすでに、欧州各地の標準運賃を上回っているという。

 警察はサンパウロとリオデジャネイロで数百人のデモ参加者を逮捕した。

 また14日には、日本代表が出場する開幕戦が行われるブラジリア(Brasilia)でも数百人の抗議者が集まって、医療従事者の労働条件や、都市改造計画などに対してデモを行い、それまでサッカーに集まっていた注目をさらった。

 参加した400人のホームレスの抗議者が、タイヤを燃やして試合の会場であるナシオナル・スタジアム(Estadio Nacional)への道を閉鎖させたため、会場の周囲では黒い煙が立ち昇った。

 抗議者の一人は、「人権を侵害するサッカー大会にレッドカードを」と書かれた垂れ幕を掲げ、コンフェデレーションズカップのみならず、来年同国で開催されるW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の準備のために居場所を収奪されたことに対する怒りをあらわにした。

 警察からの報告によると、ブラジリアでは逮捕者や負傷者は出ていない。後に政府担当者がデモの代表と会談を行うことに同意したことで、デモは沈静化したという。

 ブラジル人の多くは、国が社会的不公正を縮小させるための対策にではなく、サッカーに大金を注ぎ込んでいることに不満を感じている。ブラジリアのナシオナル・スタジアムの建設だけでも4億7500万ドル(約450億円)がかかっている。

 今回のコンフェデレーションズカップ、来年のW杯、そして2016年のリオデジャネイロ五輪の開催が決まって以来、ブラジルは壮大なインフラの建設や都市開発計画を行っていた。(c)AFP/Chris WRIGHT