【3月29日 AFP】欧州サッカー連盟(Union of European Football AssociationsUEFA)は28日、ブルガリアのソフィア(Sofia)で行われた理事会で、改めて人種差別問題を一切容認しない方針を打ち出し、必要な場合に審判が試合を中断すること、クラブが選手やサポーターによる人種差別的行為を非難することを促した。

 UEFA理事会は、プロサッカー戦略評議会(Professional Football Strategy CouncilPFSC)により採択され、28日に承認された決議の中で、「人種差別が起きた際に審判団が試合を中断することを勧告、および全面的に支持し、各国サッカー協会とリーグにも同様の措置を求める」としている。

 欧州サッカー界の最高機関であるUEFAはさらに、「選手と監督、すなわち、人種差別的言動をする者に対して最も大きな影響力を持つ人物に対し、たとえ自チームのサポーターや選手を批判することになる場合でも、正々堂々と意見を述べるよう求める」と通達した。

 この決議の採択には、欧州クラブ協会(European Clubs AssociationECA)、国際プロサッカー選手会(FIFPro)も参加した。

 1月にはイタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)に所属するケヴィン・プリンス・ボアテング(Kevin Prince Boateng)が、イタリア4部のプロ・パトリア(Pro Patria)との親善試合で相手サポーターから人種差別的なあざけりを受けたことに対する抗議を込めてピッチから立ち去り、議論の的となった。

 一部のサッカー関係者や指導者、あるいは選手はこの試合で起きた人種差別的行為を非難したが、一方でボアテングの行動は事態の解決につながらないと批判的な見方を示す人もいた。

 またUEFAは、「多くの国が大規模な措置をとり、成功を収めた。しかし、人種差別事件はまだ欧州大陸各地に広く残っている」とし、各国リーグや懲罰団体に対して「人種差別への制裁強化」を促すとともに、当局には、「その役割を全うし、人種差別的行為を行った者を逮捕、起訴し、長期間わたるスタジアムへの出入り禁止」にするよう求めた。(c)AFP