【10月15日 AFP】2014年サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)欧州予選を戦うフランス代表は、16日に行われるスペイン代表との重要な一戦を控え、攻撃陣のてこ入れを迫られている。

 ディディエ・デシャン(Didier Deschamps)監督就任後の4試合で4得点しか挙げられていないフランスは、12日に行われた日本戦で圧倒的に試合を支配しながらも得点に結びつけることができず、後半43分に一発のカウンターから香川真司(Shinji Kagawa)にネットを揺らされ、0-1の敗戦を喫した。

 デシャン監督は試合後、敗戦の原因は完全に自分たちにあると認めた。

 後半15分の段階でコーナーキックは日本の0本に対し10本を数え、枠内シュートも7本放ちながら、フランスは日本のGK川島永嗣(Eiji Kawashima)を破ることは1度もできなかった。

■フランス積年の課題は得点力不足 

 そのため、お馴染みのテーマがまたしても持ち上がりつつある。

 デシャン政権下での4得点のうち、3点が3-1で勝利した11日のベラルーシ戦のもので、フランスはスコアレスドローに終わったウルグアイとの親善試合や1-0で辛勝したW杯予選のフィンランド戦でもゴール欠乏症に陥っていた。

 カリム・ベンゼマ(Karim Benzema)はデシャン監督の前でいまだに無得点だが、一方でアタッキングサードで違いを生み出すことができる選手は、ベンゼマとフランク・リベリ(Franck Ribery)の他に見当たらない。

 レアル・マドリード(Real Madrid)所属のベンゼマは前半のみの出場ながら3、4度の決定機があり、また後半23分から途中出場したリベリは立て続けに2本のシュートを放ったものの川島に阻まれた。

 13日付けのフランス・レキップ(L'Equipe)紙は「ベンゼマとリベリがいなければ何も起こせない」と冷ややかに記した。

■ベンゼマのポジションが固定されず

 ベンゼマは代表ではここ8戦ゴールから遠ざかっているものの依然として得点に最も近い選手だが、デシャン監督の下では様々なポジションで起用されてもいる。

 監督の初陣となったウルグアイとの親善試合では、4-4-2の布陣で、アーセナル(Arsenal)所属のオリヴィエ・ジルー(Olivier Giroud)よりやや下がった位置でプレーした。

 続くフィンランド戦では1トップで起用されたベンゼマだが、ベラルーシ戦ではジルーがその位置に起用されたため、右サイドでプレーした。

 そして日本戦では、デシャン監督がジルーをあきらめずに起用したため左サイドに入ったが、2人の相互理解は乏しく、両者が出場していた時間でパスの交換は数回にとどまった。

 フランスは後半に入ってようやく川島に本来の仕事をさせたものの、デシャン監督は日本戦のようにチャンスを逃し続けていればスペインからの勝利はおぼつかないことは心得ている。

 監督は日本戦後、「今日(12日)は多くのチャンスを作ったが、どう考えても、スペイン戦で同じだけのチャンスが作れるとは思えない。守備を改善し、チャンスが来たら冷静にものにできるようにしなければならない」とコメントした。

■スペイン戦で真価を問われるデシャン監督

 いずれにせよ、6月のサッカー欧州選手権2012(UEFA Euro 2012)準々決勝でフランスを2-0で下したスペインとの対戦では、攻撃よりも守備に重点が置かれることになる。

 フランスが日本に苦杯を喫した一方で、スペインは同日行われたW杯予選で4-0とベラルーシに快勝してグループIの首位に立ち、16日の本拠地マドリード(Madrid)でのフランス戦に臨んでくる。

 こうした状況を考えれば、フランスにとっては引き分けが無難な目標とも思えるが、デシャン監督が前線に何らかのてこ入れを図らない限り、今度は敵地で敗戦という罰を食らう可能性が高い。(c)AFP/Tom Williams