【6月1日 AFP】国際サッカー連盟(Federation Internationale de Football AssociationFIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長は、衝撃的な汚職疑惑に揺れた自身のキャリアの中でも最大の危機となった数週間を乗り越え、会長に再選出される見込みとなった。

 英国のウィリアム王子(Prince William)の後押しを受ける中、イングランドサッカー協会(Football AssociationFA)とスコットランドサッカー協会(Scottish Football AssociationSFA)が会長選の延期を求める声を上げたが、ブラッター会長はチューリヒ(Zurich)で行われる第61回FIFA総会で代表者たちが集まる中、新たな4年の任期を与えられることになる。

 75歳のブラッター会長は、票の買収スキャンダルで立候補を取りやめたアジア・サッカー連盟(Asian Football ConfederationAFC)会長のモハメド・ビン・ハマム(Mohamed Bin Hammam)氏と会長選を繰り広げていた。

 ビン・ハマム氏と、強い影響力を持つジャック・ワーナー(Jack Warner)FIFA副会長は、ブラッター会長を倒すべく買収を行ったとされ、FIFAの倫理委員会から暫定的に活動停止処分を受け、引き続き調査が続いている。また、それ以前には英国議会の宣誓証言で、FIFAの役員が2018年と2022年のワールドカップ(W杯)招致活動の間に現金などを求めていたことが明らかになっている。

 ビン・ハマム氏、そして北中米カリブ海サッカー連盟(Confederation of North, Central American and Caribbean Association FootballCONCACAF)の会長でもあるワーナー氏は、活動停止処分に異議を申し立てる意向を示し、ブラッター会長にとって不利な証拠を提出するとしていた。

 しかし、「ブラッター会長を止めなければならない」と語ってから1日でワーナー氏は180度方向転換し、CONCACAFの役員らにブラッター会長を支持するように呼びかけたことで、FIFA内部での本格的な対立の可能性は弱まった。同様に、ビン・ハマム氏もAFCの代表団に向けて、1999年に米ロサンゼルス(Los Angeles)で行われた総会のようなボイコットを行わないように命じている。

 ビン・ハマム氏はAFPに対し「アジアの代表団に対して総会をボイコットしないようにと伝えた」と語っており、これによりブラッター会長はFIFAの会員による正式な投票ではなく、拍手によって会長職に再び就くと見られている。(c)AFP/Rob Woollard