【6月24日 AFP】2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)で、物議を醸す審判の判定が相次ぎ、何人かについては適正を疑う声も上がる中、判定基準のぶれが議論の的となっている。

 国際サッカー連盟(FIFA)は今回、28か国から30人をW杯の審判として任命した。多くがカードを乱発せず適正を高く評価されている一方で、疑問の残る判定もしばしば見られる。

■カード乱発、退場者続出

 たとえば、米国対スロベニア戦で笛を吹いたマリのコマン・コウリバリー(Koman Coulibaly)主審は、2-2の引き分けで迎えた85分、米国のモーリス・エドゥー(Maurice Edu)のゴールを認めず、米国は重要な勝利を逃した。米国内では批判が噴出した。

 また、南アフリカのカルロス・パレイラ(Carlos Parreira)監督は、3-0で負けた対ウルグアイ戦でスイスのマッシモ・ブサカ(Massimo Busacca)主審が南ア選手1人を退場処分とした判定に、「今大会で最悪の審判だ。今後、一切顔を合わせずに済むことを願う」とこきおろした。

 9枚のカードが乱れ飛び、1人が退場となったスイス対チリ戦をめぐっては、スイスのディフェンダー、ステファン・グリヒティング(Stephane Grichting)が「11人対11人だったら違う試合になっていただろう」と、サウジアラビアのカリル・アル・ガムディ(Khalil Al Ghamdi)主審をチリ贔屓だったと非難した。

 ブラジル対コートジボワール戦で、ブラジルのカカ(Kaka)を退場処分にしたフランスのステファン・ラノイ(Stephane Lannoy)主審にも批判が集中している。同じ試合でラノイ審判は、ブラジルのルイス・ファビアーノ(Luis Fabiano)が明らかに両腕を使って決めたゴールを認め、さらに悪いことに、その後ファビアーノと笑い合っているところを目撃されている。

■FIFAは「おおむね満足」

 だが、FIFA審判団のトップ、ホセ・マルシア・ガルシア・アランダ(Jose-Marcia Garcia-Aranda)氏は記者団に対し、審判団の仕事には概して満足していると述べ、ミスは必ず起きるものだが「不十分な判定については常に改善を目指しており、その意味で毎日トレーニングを行っている」と語った。

 審判はもちろん人間だ。この状況では、ビデオ判定導入の議論が再び持ち上がることは避けられないだろう。(c)AFP/Martin Parry

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