【3月3日 AFP】6月11日に開幕するサッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)まで残り100日となった2日、国際サッカー連盟(Federation Internationale de Football AssociationFIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長が会見し、南アの大会運営能力に対するいまだぬぐわれない不安の声を一蹴(いっしゅう)した。

 ブラッター会長は会場となる国内の10のスタジアムを視察したあとダーバン(Durban)で会見を開き、「南アは準備万端だ」と述べ、さらに「南アは大会を成功させることができないなどと言う否定論者たちに頭を悩ませている」と付け加えた。

 スタジアムはすべて完成し、開幕に間に合った。

■チケットは高嶺の花

 2日は国内各地でW杯開幕100日前を祝うカウントダウンパーティーが開かれた。メディアは大々的に報道したがパーティーへの参加者は比較的少なかった。パーティーが、サッカーファンの大半が暮らすタウンシップ(旧黒人居住区)から遠く離れた街の中心部で開かれたためだ。

 ヨハネスブルク(Johannesburg)の高級ビジネス街、サントン(Sandton)地区で開かれたパーティーには、セボケン(Sebokeng)・タウンシップからやってきたという65歳の女性の姿が見られた。ミニバスを乗り継いで65キロの道のりを2時間かけてやってきたという。

 女性は「洗濯物が残ってるんだけど、別の日にやるわ!頭はサッカーのことで一杯。これまでW杯の話題で持ちきりだったけど、ついにこの日がやってきたのだから、そりゃあ興奮するわよ」と話した。

 ケープタウン(Cape Town)では、南ア国旗を掲げたヘリコプターが街の象徴とも言えるテーブル・マウンテン(Table Mountain)の横を通過してゆき、学校では児童たちがサッカー選手の動きに着想を得た「ディスキ」と呼ばれるダンスのレッスンを受けた。

 ダーバンでは、市役所の前に1000人程度が集まり、南アサポーターの必須アイテムである「ブブゼラ」と呼ばれるトランペットを吹き鳴らし、太鼓に合わせて踊った。

 こうした歓喜のなか、地元住民向けの大幅な割引にもかかわらずチケットに手が届かず、観戦できないと不満をもらす人びとも見られた。

■空港も準備万端
 
 南アは、大会の準備に330億ランド(約3860億円)の予算をつぎ込んだ。

 スタジアムのほか、ヨハネスブルク、ケープタウン、ブルームフォンテーン(Bloemfontein)の各国際空港の大規模改修が無事終了している。ダーバン新空港は5月1日に開港する。

 FIFAは、これまでにチケット販売枚数290万枚のうち220万枚が売れたとしている。不安材料は、海外からの観戦者数が予想を下回ると見られる点だ。南アは期間中の海外からの観光客を45万人と見積もっているが、海外の多くのサッカーファンたちが、いまだに世界同時不況の影響から抜けきれていない。

 南アは、殺人事件の発生件数が1日平均50件という凶悪犯罪多発国でもある。同国は残り100日間で、南アが安全であることをアピールしていく考えだ。既に治安対策には24億ランド(約280億円)以上が費やされ、警察官も約4万1000人増員されている。

 南ア国民の間では、大会への楽観ムードが高まっている。1日に発表された最新の世論調査では、「大会を成功させられると思う」と答えた人は85%にのぼった。(c)AFP/Marine Veith