【12月26日 AFP】2010年W杯南アフリカ大会(2010 World Cup)予選は、イングランドやブラジルがあっさりと本大会出場を決め、ポルトガルやアルゼンチンが苦戦した。

 南アフリカへの長く険しい道のりは2007年8月から始まり、参加204か国が開催国を除いた残り31のいすをかけて戦った。

 すべての強豪国が出場権を獲得したが、前回王者のイタリアやアルゼンチンは苦しみ、ブラジルは余裕を持って本大会の切符を手にした。

 予選では全848試合で2337得点が記録されたが、すべては11月の大騒動に集約された形になった。

 イタリアに次ぐグループ2位で予選を終えたアイルランドは、プレーオフではフランスを上回る内容だったが、ティエリ・アンリ(Thierry Henry)のハンドから生まれたウィリアム・ギャラス(William Gallas)の決勝点により望みが絶たれた。

 このハンド騒動はフランスとアイルランドの外交問題に発展し、両国の首脳も論争に巻き込まれた。

 国際サッカー連盟(Federation Internationale de Football Association、以下FIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長は、再試合の要請が拒否された後、アイルランドが33枠目の出場国としての参加を要請したと公表し、アイルランド国民の怒りを買った。

 フランス国民も全体的に結果に戸惑っており、調査では10人中8人が予選通過に「値しない」と答えているが、12月にケープタウン(Cape Town)で行われた本大会の組み合わせ抽選会に参加したのは、アイルランドではなくフランスだった。

 アルゼンチンのディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)監督は、本大会に自動的に出場するためには「勝たなければならない」南米予選最終節のウルグアイ戦後に暴言を吐き、2か月のサッカー活動禁止が科されたため、本大会の抽選会には姿を見せなかった。

 計7度の優勝を数えるアルゼンチンとブラジルに加え、南米からはパラグアイ、チリ、ウルグアイが本大会に出場する。

■欧州はスペイン、イングランドら強豪国が順当に出場を決める

 欧州勢では、欧州選手権2008(Euro 2008)を制し、予選で10戦全勝を飾ったスペインに期待が集まっている。

 ファビオ・カペッロ(Fabio Capello)監督の下で生まれ変わったイングランドは、予選でスペインに次いで多い勝ち点27(9勝1敗)を獲得した。

 欧州選手権2008出場を逃したイングランドは、1次リーグの組み合わせ抽選でシード国に入り、南アフリカでは高地対策のため選手にバイアグラを配布するなど12月に2つのニュースを提供した。

 ドイツはグループリーグでロシアを抑えて順当に17度目の本大会出場を決め、イタリアもアイルランドを上回り同じく17度目のW杯出場を果たした。

 W杯デビューを果たすセルビアとスロバキアにとっては、南アフリカ大会は歴史的なイベントとなる。

■アフリカ大陸からは開催国南アフリカを含め6か国が出場

 W杯を初めて開催するアフリカからは、ナイジェリア、カメルーン、ガーナ、コートジボワール、アルジェリア、開催国の南アフリカが出場する。

 元ガーナ代表のアベディ・ペレ・アイェウ(Abedi 'Pele' Ayew)氏は「今回はわれわれがトロフィーを掲げる最高のチャンス。W杯の歴史を学ぶと、(所属する)大陸の外で優勝したのはブラジルだけだからね」と語っている。

 アフリカ予選の最後の切符は、同じ成績だったエジプトとのプレーオフを制したアルジェリアが手にし、欧州と同様に劇的な幕切れだった。

 アジアでは北朝鮮が2度目の本大会出場を決め、イタリアを下して準々決勝に進んだ1966年イングランド大会と同じ衝撃を与えようともくろんでいる。

 アジアからは北朝鮮に加え韓国、日本、オーストラリア、オセアニアからはバーレーンとのプレーオフで勝利したニュージーランド、北中米カリブ海からはメキシコ、米国、ホンジュラスが出場する。(c)AFP/Nick Reeves