【6月21日 AFP】サッカー欧州選手権2008(Euro 2008)に出場しているロシア代表のオランダ人監督、フース・ヒディンク(Guus Hiddink)氏は、ロシアが母国のオランダを破り準決勝に進出する姿を目撃し、さらにはオランダにとっての今年最大の裏切り者になりたいと思っていることを明らかにした。

 オランダ人であることを誇りに持っているヒディンク監督だが、21日にバーゼル(Basel)のザンクト・ヤコブ・パルク(St. Jakob-Park)で行われる準々決勝でオランダから勝利を収めることを願っている。

 試合当日にはオレンジ色で着飾った10万人以上のオランダ人サポーターがバーゼルへ押し寄せると見込まれている。

 「ロシアが勝つことで裏切り者と感じるか」との質問を受けたヒディンク監督は、「オランダにとっての今年最大の裏切り者になりたい。故郷で今年最大の裏切り者になることは、ロシアが試合に勝つことを意味するからだ」と冗談を飛ばしたが、「ロシア国歌の歌詞は分からないが、メロディーは好きなので一緒に口ずさむだろう。もし私が裏切り者になるならば、私はやるべきことをやったということだ」と付け加えた。ロシアは困難な戦いに挑むことになる。

 今大会のオランダは、グループリーグで06サッカーW杯ドイツ大会の決勝を戦ったイタリアとフランスをそれぞれ3-0、4-1で下すなど、(3試合で)9得点を奪っている。ウェズレイ・スナイデル(Wesley Sneijder)が、イタリアとフランスの両国との試合で得点を記録し、ルート・ファン・ニステルローイ(Ruud Van Nistelrooy)は常に相手のディフェンス陣を脅かしている。

 また「オランダが速いテンポのプレーでロシアを脅かすことになるのか」との質問を受けたヒディンク監督は、オランダのようなチームを抑えるには攻撃的に出るしかないとの見解を示した。ヒディンク監督は、「もちろん、(オランダの攻撃を)恐れている。ものすごく恐れている。だからこそ我々は攻撃的に出なくてはならない。引けば引くほど恐怖心は増すだろう。可能な限りは攻めなければならない」と語っている。

 ヒディンク監督のこれまでで最も有名な業績は、2002年のW杯日韓大会で韓国代表を準決勝に導いたことである。また2006年のドイツ大会では、最終的には10人のイタリアを相手にロスタイムのペナルティーキックで敗れたものの、オーストラリアを決勝トーナメント1回戦にまで導いている。

 ヒディンク監督は、ロシアにオランダのスタイルを取り入れようとしているが、「最近のロシア代表は、選手だけでなくプレースタイルも変わってきている。我々はオランダのような攻撃的なプレーに取り組んでいる。小さな一歩を踏み出したところだが、強国と対戦することになる。身体的、技術的に世界でも有数なチームと対戦するが、アプローチの仕方を変えるつもりはない」と語っている。(c)AFP/Ryland James