【4月15日 AFP】11-12イタリア・セリエAは14日、第33節の試合が行われる予定だったが、同日行われたセリエBの第35節でリボルノ(Livorno)のピエルマリオ・モロジーニ(Piermario Morosini)選手が試合中に倒れて死亡したため、15日を含めたすべての試合が延期となった。

 ウディネーゼ(Udinese)からリボルノに期限付き移籍していた25歳のモロジーニ選手は、デルフィーノ・ペスカーラ1936(Delfino Pescara 1936)との試合中に倒れ、病院に搬送されるも死亡が確認された。

 悲劇は3月17日に行われたイングランドのFAカップ2011-12(FA Cup 2011-12)準々決勝でボルトン・ワンダラーズ(Bolton Wanderers)のファブリス・ムアンバ(Fabrice Muamba)が試合中に倒れ、心肺停止に陥ってから約1か月後に発生した。

 訃報を受けて、イタリアサッカー連盟(Italian Football Federation:FIGC)のアントネッロ・バレンティーニ(Antonello Valentini)氏は、14日と15日に予定されていたすべての試合を延期することを決定した。

 試合延期の決定を受け、ACミラン(AC Milan)とジェノア(Genoa CFC)の試合が行われる予定だったサン・シーロ・スタジアム(San Siro stadium)では、ほとんどの観衆が決定に拍手を送ったものの、一部の心ないサポーターからは野次が飛んだ。

■ムアンバが倒れてから約1か月後に繰り返された悲劇

 元U-21イタリア代表のモロジーニ選手は、試合中に心臓発作を起こして倒れ込み、ピッチ上で治療を受けた後にペスカーラ市内の病院に搬送されるも、死亡が確認された。

 治療にあたったデルフィーノ・ペスカーラの専属医師は、「彼が深刻な状態であることにすぐ気付き、審判の許可を得ることなくピッチの中に入った。即座に心臓マッサージを施したが、われわれにできることはそれ以外何もなかった」と語っている。

 また、スタジアムの出入り口がパトカーで封鎖されていたため、救急車の到着が遅れていた。

 当時の状況について、ペスカーラのゴールキーパー(GK)ルカ・アナニア(Luca Anania)は「現場はとても混乱していて、状況を理解しようと必死だった。スタジアムの出入り口が車で封鎖されて救急車の到着が遅れたため、僕はチームメイトとともに救急車まで担架を運んだんだ」と説明している。

 試合中に選手が心臓発作で倒れ、そのまま死去したケースは過去にもあり、2003年のコンフェデレーションズカップ(FIFA Confederations Cup)準決勝では、カメルーン代表のマルク・ビビアン・フォエ(Marc Vivien Foe)が試合中の心臓発作で亡くなっている。

 しかしながら3月のFAカップで倒れたムアンバは、心停止状態が78分間続いたものの、試合会場にいた医師の素早い対応と搬送された病院の懸命な治療により、奇跡的に一命を取り留め、現在は快方に向かっている。(c)AFP/Barnaby Chesterman