【7月12日 AFP】ドイツ・ブンデスリーガ2部のザンクトパウリ(FC St. Pauli)は11日、性の多様性への支持を象徴するレインボーフラッグを本拠地スタジアムに掲揚すると発表した。

「当クラブはここ数年間、ホモフォビア(同性愛嫌悪)や差別に反対してきました。レインボーフラッグを掲げることにより、ザンクトパウリがこの問題に真剣に取り組んでいることを大いに主張することができます」とクラブ幹部は話す。

 ゲイとレズビアンのためのザンクトパウリ・ファンクラブに属している会員は、クラブの今回の取り組みを支持する。そして、もしブンデスリーガ1部のクラブがザンクトパウリに倣えば、それは「サッカー界にとって飛躍的な進歩」になると語った。

 ドイツでは、昨年の9月にアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相がゲイのサッカー選手が恐れずにカミングアウトできるようになるべきだとコメントして以来、サッカー界の同性愛者についてよく取り上げられるようになった。

 メルケル首相は、「強さと勇気を持った人なら知っているはずです。ドイツが恐れずにいれる国だということを」とコメントした。

 ドイツの政界ではギド・ヴェスターヴェレ(Guido Westerwelle)外相やクラウス・ヴォーヴェライト(Klaus Wowereit) ベルリン(Berlin)市長など、同性愛であることを公言しているが、ブンデスリーガには1人もカミングアウトしている選手はいない。

 ドイツサッカー連盟(German Football FederationDFB)は、もし選手がカミングアウトした場合、クラブとしてどうメディアやファンに対応すればいいか、各クラブに対策をアドバイスする計画を立てている。

■カミングアウトするべきか否か?サッカー界でも2分する見解

 ドイツ代表のマリオ・ゴメス(Mario Gomez)は2011年に、ゲイであることをオープンにした選手は「解放された気分でプレーできるだろう」とコメントし、「同性愛であることは、もうタブーであるべきじゃない」との考えを示した。

 一方で、ドイツ代表の主将を務めるフィリップ・ラーム(Philipp Lahm)はゴメスと反対意見を持つ。

「ゲイの選手がカミングアウトしたら、攻撃の的になるだろう。とても辛くなると思う」とラームは独週刊誌「Bunte」とのインタビューで話した。

 また、匿名で雑誌「Fluter」の取材に応じたゲイの現役ブンデスリーガ選手は、同性愛を公言した場合、身に危険を感じるようになるだろうと語る。

「ブンデスリーガでプレーをするという夢を叶えるために払った代償は大きい。私は演技をして、毎日自分に嘘をつき続けなければいけない」

「最初の方は問題なかったが、時間が経てば経つほど、とても難しくなってきている」 (c)AFP