【5月4日 AFP】ドイツ・ブンデスリーガ1部で4日に行われる欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2012-13)決勝の前哨戦を控え、ボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)のハンス・ヨアヒム・ヴェツケ(Hans-Joachim Watzke)会長は、バイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)との関係が決して良好ではないと認めた。

 すでにバイエルンがリーグ優勝を確定させた一方で、ドルトムントは順位表で2位につけている。そのため、4日にドルトムントの本拠地ジグナル・イドゥナ・パルク(Signal Iduna Park)で行われる試合は、25日に英ロンドン(London)のウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で行われるチャンピオンズリーグ決勝のリハーサルでしかない。

 しかし、史上初めて決勝でドイツ勢同士の対決が実現するチャンピオンズリーグの頂上決戦を前に、両クラブの間には緊張感が張りつめている。

 30日に行われたチャンピオンズリーグ準決勝で、レアル・マドリード(Real Madrid)を2試合合計スコア4-3で退けた後、ドルトムントのヴェツケ会長は、「私はこれまでバイエルンを称賛し、敬意を払ってきた。しかし、両クラブの関係は現在冷め切っている。最近は苛立ちすら感じている」と語った。

 4月23日にマリオ・ゲッツェ(Mario Goetze)がドルトムントとの契約にあった移籍条項を行使し、違約金3700万ユーロ(約48億円)で7月1日からバイエルンに加入すると報じられて以降、両クラブの間には亀裂が生じている。

 ヴェツケ会長は両クラブの間に敵意は存在していないと話しているが、4日に行われる試合では、バイエルン関係者がドルトムントの夕食会に招待されていない。その代わりとして、ドルトムントはバイエルンを「握手で」迎える予定だとしている。

 たしかにバイエルンは、1日に行われたFCバルセロナ(FC Barcelona)とのチャンピオンズリーグ準決勝第2戦に3-0で勝利し、2試合合計スコア7-0で決勝進出を果たした後、ドルトムントに対して配慮を欠いた発言をしている。

 バイエルンのカール・ハインツ・ルンメニゲ(Karl-Heinz Rummenigge)社長は、FCバルセロナ戦との試合終了後、11-12シーズンにリーグとドイツカップの2冠を達成したドルトムントとの対戦について、「アウェーでの簡単な試合だから気にする必要はない。我々はすでにリーグ王者なのだからね」と語っていた。

 また、バイエルンのウリ・ヘーネス(Uli Hoeness)会長も同様に、「ブンデスリーガでは当然であるべきの力関係が戻った」と述べていた。

■バイエルンとドルトムント、両クラブの指揮官にも温度差

 バイエルン側の反応とは対照的に、ドルトムントのユルゲン・クロップ(Jurgen Klopp)監督は、4日の対戦を待ち望んでいると話している。

 クロップ監督は、「今回の対戦をすごく楽しみにしている。ファンに素晴らしい試合をお見せしたいからね。選手たちはウサギみたいに走り回るよ」とコメントした。

 ドルトムントは30日に行われたレアル戦で左太ももを負傷したゲッツェの欠場が濃厚となっている。また、スベン・ベンダー(Sven Bender)も、足首のけがで戦列から離脱している。

 一方、バイエルンのユップ・ハインケス(Jupp Heynckes)監督は、「両クラブともに体力が有り余っている控え選手を起用するはずだ。だから4日の試合は何の意味も持たない」と述べ、主力選手の温存を示唆している。

 4日の試合がブンデスリーガの強豪同士の激突であることに疑いの余地はない。リーグ戦6連勝中のドルトムントは、次の試合で白星を挙げると、2005年に樹立したクラブのリーグ戦最長連勝記録に並ぶ。しかしながら、バイエルンは現在14連勝中で、ドルトムントの記録を上回っている。

 ドルトムントと対戦したリーグ戦過去5試合の戦績を4敗1分けとしているバイエルンだが、12-13シーズンのドイツ・ブンデスリーガではここまで勝ち点84を獲得しており、11-12シーズンにドルトムントが獲得した勝ち点81を抑えてリーグ歴代最多となっている。(c)AFP/Ryland JAMES