【5月24日 AFP】欧州サッカー連盟(Union of European Football AssociationsUEFA)は23日、ロンドンで理事会を開き、選手や関係者が人種差別行為を行った場合、10試合の出場停止処分を科すことを正式に承認した。

 サポーターが人種差別行為を行った場合、初回はスタジアムの一部閉鎖、2回目はスタジアムの全面閉鎖となる。

 イングランドサッカー協会(Football AssociationFA)は、人種差別行為に対して最低5試合の出場停止処分を科す計画を発表しているが、UEFAのジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)事務局長は、各国の連盟が独自の処分を導入することが可能としている。

 記者会見に臨んだインファンティーノ事務局長は、「各連盟は同じ、または類似の基準を導入すべきだが、UEFAは強制するよりも人々を納得させるような方法をいつも採用してきた」と述べた。

「単純に一つの基準で判断し、制裁を科すというやり方で人種差別と戦えるとは考えていない」

「私はFAの決定を議事録で読んだが、出場停止処分は5試合、または15試合にもなる可能性があると書いてあった。FA側は自分たちの規制がイングランドに適していると確信している」

「それは彼らの判断だ。その処分がUEFAよりも十分なのか不十分なのかということを意味しているものではない。それぞれがこの分野でできることをやらなければならないのだ」

「FAは独立した組織であり、イングランドで人種差別主義と戦うために何がベストなのかを知っている。おそらく、イングランドは今まで最も多くその戦いが行われてきた国だ」

 新しい基準は2013年6月1日付けで発効される。

■13-14シーズンから血液検査導入も決定

 また、UEFAはドーピング違反を発見するために2013-14シーズンから血液検査を導入することを決定し、インファンティーノ事務局長は、「我々はスポーツをクリーンなものにするため、できる手段をすべてやりたいと思っている」と語った。

 インファンティーノ事務局長は、「我々は2008年と2012年の欧州選手権で実施した血液検査で良い実験ができた。適切なタイミングで行われたと考えている」と述べており、検査を実施する大会とサンプル数は医療専門家が決めるとも付け加えた。

 UEFAはこれまで、複数の専門家が不十分だと指摘していた尿検査の結果を重要視していたが、ステロイド使用の痕跡を突き止めるために、2008年以降のUEFA主催大会に参加したおよそ900人の選手から採取されたサンプルの研究も始める。この検査は匿名で行われ、罰則の対象にされていない。

 続けてUEFAは審判への侮辱行為、暴力行為に対してより厳しい処分を下すことも発表した。審判への侮辱行為による出場停止は2試合から3試合へ、暴力行為は10試合から15試合に改定されている。

 24日に行われる定例総会では、ヨーロッパリーグ(UEFA Europa League)の価値を高めるために、優勝チームに対して翌シーズンの欧州チャンピオンズリーグ出場資格を与える規定が決定されると見られている。(c)AFP/François BONTOUX