花形選手が「架空の彼女」と交際、米メディアも気付かず報道
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【1月19日 AFP】米大学フットボール界の花形選手がインターネットを通じて出会い、その後病に冒されて死亡したとされていた「ガールフレンド」が、架空の人物だったことが今週、判明し、これを「美談」として繰り返し報じていたメディアの事実確認プロセスについて疑問の目が向けられている。
架空の女性と「交際」していたとされるのは、全米プロフットボール、NFLのドラフト指名トップの呼び声もあるノートルダム大学(University of Notre Dame)のラインバッカー、マンタイ・テオ(Manti Te'o)選手。その年の最優秀大学フットボール選手に与えられるハイズマン賞(Heisman Trophy)の最終選考に残るほどの花形選手だ。
発端となったのは米スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)」が昨年10月に掲載した記事。記事では、テオ選手の交際相手の「レネー・ケクア(Lennay Kekua)さん」は9月に亡くなったと書かれていた。
テオ選手本人が語ったこの涙を誘うエピソードはここ数か月間、多くのメディアで繰り返し報じられ、交際相手についての追加情報も伝えられていた。
だがオンラインニュースサイト「デッドスピン(Deadspin)」がこのたび行った調査で、この女性が実在せず、テオ選手はネット上で行われた悪質ないたずらの被害者だったことが分かった。だが、テオ選手がなぜこの「ガールフレンド」と会ったと主張し、さらには事実に気付いていたとされる12月の時点でも彼女について語り続けていたのかは謎のままだ。
さらに、今回の騒動をめぐっては、メディアの事実確認手順を疑問視する声も上がっている。スポーツ情報サイト「SBネーション(SB Nation)」によると、ESPN、シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)、ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)、USAトゥデイ(USA Today)などを含む21報道機関が、事実確認なしにケクアさんについて報じたという。
メディア批評ブログ「ザ・バトリー・ダイアリー(The Buttry Diary)」を運営するスティーブ・バトリー(Steve Buttry)氏は、「彼女についての記事を書くなら、死亡記事にあたるべきだった。死亡記事が見つからないことが分かれば、不審に思ったはずだ」と記している。
一方で、米ノースイースタン大学(Northeastern University)のダン・ケネディー(Dan Kennedy)教授(ジャーナリズム)は、ニュース業界は常に特定の名高い機関による報道を疑うことなく受け入れてきたと話す。また、同誌の記事は細部までしっかりと書かれていたように見えたという。
「さらなる確認作業が必要だったことは言うまでもないが、この失態を冷やかしているメディアでも簡単に起こりえたことなのではないだろうか」(ケネディー教授)
(c)AFP/Rob Lever
架空の女性と「交際」していたとされるのは、全米プロフットボール、NFLのドラフト指名トップの呼び声もあるノートルダム大学(University of Notre Dame)のラインバッカー、マンタイ・テオ(Manti Te'o)選手。その年の最優秀大学フットボール選手に与えられるハイズマン賞(Heisman Trophy)の最終選考に残るほどの花形選手だ。
発端となったのは米スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)」が昨年10月に掲載した記事。記事では、テオ選手の交際相手の「レネー・ケクア(Lennay Kekua)さん」は9月に亡くなったと書かれていた。
テオ選手本人が語ったこの涙を誘うエピソードはここ数か月間、多くのメディアで繰り返し報じられ、交際相手についての追加情報も伝えられていた。
だがオンラインニュースサイト「デッドスピン(Deadspin)」がこのたび行った調査で、この女性が実在せず、テオ選手はネット上で行われた悪質ないたずらの被害者だったことが分かった。だが、テオ選手がなぜこの「ガールフレンド」と会ったと主張し、さらには事実に気付いていたとされる12月の時点でも彼女について語り続けていたのかは謎のままだ。
さらに、今回の騒動をめぐっては、メディアの事実確認手順を疑問視する声も上がっている。スポーツ情報サイト「SBネーション(SB Nation)」によると、ESPN、シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)、ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)、USAトゥデイ(USA Today)などを含む21報道機関が、事実確認なしにケクアさんについて報じたという。
メディア批評ブログ「ザ・バトリー・ダイアリー(The Buttry Diary)」を運営するスティーブ・バトリー(Steve Buttry)氏は、「彼女についての記事を書くなら、死亡記事にあたるべきだった。死亡記事が見つからないことが分かれば、不審に思ったはずだ」と記している。
一方で、米ノースイースタン大学(Northeastern University)のダン・ケネディー(Dan Kennedy)教授(ジャーナリズム)は、ニュース業界は常に特定の名高い機関による報道を疑うことなく受け入れてきたと話す。また、同誌の記事は細部までしっかりと書かれていたように見えたという。
「さらなる確認作業が必要だったことは言うまでもないが、この失態を冷やかしているメディアでも簡単に起こりえたことなのではないだろうか」(ケネディー教授)
(c)AFP/Rob Lever