【6月10日 AFP】13F1第7戦カナダGP(Canadian Grand Prix 2013)の主催者と国際自動車連盟(International Automobile FederationFIA)は9日、マーシャル(係員)の男性(38歳)が作業中のクレーン車にひかれて死亡したと発表した。

 男性の身元は不明となっている。

 クレーン車はレース終了後、リタイアに追い込まれたザウバー(Sauber)のエステバン・グティエレス(Esteban Gutierrez)のマシンの撤去作業を進めていた。マシンをピットに戻すためクレーン車でつり上げていたところ、男性が無線を落として拾おうとした時に事故は起きた。

 FIAは、男性がつまずいてしまったために回収車両を運転していたドライバーの死角に入り、接触して下敷きとなったと公式ホームページ上で声明を発表している。

 男性はレーストラックの医療担当者による応急処置を受けてヘリコプターで病院に搬送されたが、持ち直すことなく亡くなった。

 治療にあたった医師の一人はラジオ・カナダ(Radio Canada)に対し、「大きな外傷と複数か所の骨折、さらに腹部の挫傷がひどかった」と死因を説明した。

 F1のレースでマーシャルが亡くなったのは2000年以降で今回が3人目となる。

 2000年、モンツァサーキット(Monza racetrack)で行われたイタリアGP(Italian Grand Prix)ではレース1周目にクラッシュが発生し、ジョーダン(Jordan)のハインツ・ハラルド・フレンツェン(Heinz-Harald Frentzen)のマシンから飛んできたタイヤがボランティアとして従事していた消防士のパオロ・ギスリンベルティ(Paolo Ghislimberti)さんを直撃し、頭部と胸部を損傷して死亡した。

 2001年のオーストラリアGP(Australian Grand Prix)では、BARホンダ(BAR Honda)のジャック・ヴィルヌーブ(Jacques Villeneuve)のマシンから飛んだタイヤが安全フェンスの隙間を通り抜け、マーシャルのグラハム・ベヴァリッジ(Graham Beveridge)さんに直撃。重傷を負って非業の死を遂げた。(c)AFP