【3月25日 AFP】24日に行われたF1第2戦マレーシアGP(Malaysian Grand Prix 2013)決勝で、チームメイトのマーク・ウェーバー(Mark Webber)に無理なオーバーテークを仕掛けてトップを奪い、今季初勝利を挙げたレッドブル(Red Bull)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)が、自らの行為を謝罪した。

 レース後に両者が臨んだ記者会見は張り詰めた空気の中で行われ、ベッテルが「愚かなことをした」と認め、自らを厳しく責めたものの、ウェーバーの気持ちはまったく収まらない様子だった。

 ウェーバーがトップを走り、ベッテルが2位につけていたレース終盤、チームは順位を保つよう両ドライバーに指示を出したが、その指示を無視したベッテルは無理なオーバーテークを仕掛け、通算27勝目を挙げた。

 記者会見でベッテルは、「間違いを犯したとしか言えない。誇らしいことをしたとはとても思えない。もう一度やり直せるなら、絶対にあんなことはしない」とコメントした。

「戻ってきてスタッフの反応を見て、それからマークと少しだけ話した。ひどく打ちのめされたよ。あえて言葉にするなら、僕は取り返しのつかないことをしてしまった」

 しかしながら、史上最年少でドライバーズタイトル3連覇を達成しているベッテルは、機会があればウェーバーに勝利を譲って埋め合わせするとまでは明言しなかった。

■通算10勝目を奪われたウェーバー「難しい状況になったことは間違いない」

 一方、通算10勝目の機会を奪われた形となったウェーバーは、無線でチームの指示を受けながらも、それを無視したベッテルの行動に怒りをにじませた。

「チームから指示が入り、もうプレッシャーがかかる状況じゃないから、ゴールまでタイヤを温存し、2人で争うなと言われた。だから僕はエンジンの回転数を落とした。今は感情をあらわにすべき時ではない」

 F1では、チームの2人がともに好位置につけた場合、不測の事故を防ぐため、争うのをやめてそのまま順位を維持するよう指示が出ることは珍しくない。

 ウェーバーは2人の信頼関係が崩れた今、チームは今後難しい状況になる可能性があると語っている。

「僕はスポーツが大好きだ。ファンは最後まで全力を尽くすところを見たいと思う。レースの最後に2台のマシンが並んで走るのはかなり異常なことだ」

「将来に向けて難しい状況になったことは間違いないが、これもF1だ。僕らはプロフェッショナルだし、今日も自分の仕事をした。だけどチームにとっては簡単な状況ではない。今回のようなことは今までも問題になってきたし、これからもなるだろう」

■3位に入ったハミルトン「僕が今いる場所にふさわしいのはニコの方だ」

 一方、3位に入ったメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)も、チームメイトのニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)に対して謝罪の言葉を口にしている。

 決勝を4位で終えたロズベルグは終盤、チームのロス・ブラウン(Ross Brawn)代表からオーバーテークを制止され、苛立ちを見せていた。

「そこまで良い気分じゃない。僕が今いる場所にふさわしいのはニコの方だ。けどチームはタイトル争いのことを考えて、順位を保つのが適切だと判断したんだろう。ニコにおめでとうと言いたい。今日のニコは僕よりも賢く走ったし、レースをコントロールできていた」

(c)AFP/Talek Harris