【9月10日 AFP】(一部訂正)ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)の所属するマクラーレン・メルセデス(McLaren-Mercedes)は9日、08F1第13戦ベルギーGP(Belgian Grand Prix 2008)決勝で物議を醸し出した25秒のペナルティーの決定に対し、異議を申し立てたことを発表した。

 ハミルトンは、フェラーリ(Ferrari)のキミ・ライコネン(Kimi Raikkonen)とのスリルに富んだバトルを制しトップでゴールした。しかし、雨に見舞われたレース終盤のライコネンとの競り合いの中、ハミルトンがスパ・フランコルシャンサーキット(Circuit de Spa-Francorchamps)のバスストップシケインをカットしたとして、25秒のペナルティーをレース後に受けて3位に降格した。これにより、残り2周でライコネンがリタイアしたため2位になりそのままレースを終えたフェラーリのフェリペ・マッサ(Felipe Massa)が同GPを制した。

 ドライバーズポイント・ランキングで首位に立つハミルトンは、5戦を残して2位に2ポイント差に追い上げられ、12日に開幕する第14戦イタリアGP(Italian Grand Prix 2008)を迎える。

 マクラーレンは「ベルギーGPでの国際自動車連盟(Federation Internationale de l’AutomobileFIA)の審査委員会によるルイス・ハミルトンへのペナルティーに正式に抗議する意向を固め、我々はこれによって上訴申し立てを行ったことを発表します」と声明を発表した。

 声明には続けてハミルトンの事故に関する初の詳細な説明が載せられていた。ハミルトンは「シケインの最初のコーナーのブレーキエリアで少し彼(ライコネン)の前に出ようとした。彼は第2コーナーで巻き返してきた。だが、その中で彼は僕にためにレーンの内側を空けることはしなかった。衝突を避けるために僕に残された道は第2コーナーの内側をカットすることだけだった。第2コーナーを出てキミの前に出たけれど、キミを前に出すためにストレートで少し外した。チームも無線を通じてキミを再び前に出すように指示を出してきていた。以前にもしていたようにね。その結果キミはコントロールラインを先に通り、僕より時速で6.7キロメートル速かった。キミを完全に抜かせた後、僕はトラックの左側から右側に車を寄せて一連の過程でキミを抜いた。そして(サーキットの)第1コーナー内側でキミにアタックを仕掛けて押さえ込んだんだ」と一連の流れを説明している。

 しかし、FIAの国際競技規則の条項152条でドライブスルーぺネルティーに関しては「抗議を受け入れる余地はない」としているため、マクラーレンの意見は考慮されないだろう。3度の世界王者に輝いた元フェラーリのニキ・ラウダ(Niki Lauda) 氏は、ハミルトンから優勝を剥奪したことは「F1史上の中で最悪の裁定」としている。ハミルトンは08シーズン中に5度目のペナルティーを受けたこととなった。

 ベルギーGPで審査委員会を勤め、ハミルトンにペナルティーを与えた一人であるケニアのSurinder Thatti氏は「マクラーレンを含む誰に対しての陰謀もない。我々はFIAのルールに則りプロとしての行動をした」と語っている。(c)AFP/Julian Guyer