【5月8日 AFP】F1ドライバーの佐藤琢磨(Takuma Sato)は7日、所属していたスーパーアグリ(Super Aguri)が6日に長引く財政難を理由にF1世界選手権からの撤退を発表したが、たとえ所属するチームが無くともF1から引退するつもりはないと誓った。

 佐藤は自身のホームページ上で「残念だという以外に、いまの自分の気持ちを表す言葉は見つかりません。チームが抱えていたすべての問題に対しても常に希望を持ち続け、僕ができる範囲でどうしたらチームをサポートできるかということを考えてきた。スーパーアグリは小さなチームでしたが、その志は高く、崇高なスピリットを抱いていました。チームの初ポイントを獲得したのがたった1年前だったことがいまでは信じられませんし、それからたった1年で、そのときの喜びや興奮が落胆に転じるとは思いもよりませんでした」と心境を綴った。

 スーパーアグリの鈴木亜久里(Aguri Suzuki)代表は6日、第5戦トルコGP(Turkish Grand Prix 2008)の開幕を目前に控えるなか、スーパーアグリにエンジンをはじめとする技術的な支援を行っていたホンダ(Honda Motor)から財政援助を断られたことと、救済に名乗りを上げたドイツ自動車会社のヴァイグル・グループ(Weigl Group)との契約もホンダの反対により不成立に終わったため、チームの運営に必要な十分な資金を確保することができず、F1世界選手権からの撤退を発表した。

 圧倒的に不利なマシンながら勇敢な走りで観衆を驚かせていた佐藤は「これまではSAF1と共にレースすることに全力を投じてきたので、いまはまだ次に進む道がどうなるのかはわかりません。マネージャーとともに今後の可能性を探り、しかるべきときがきたら発表するつもりです。しかしながら、僕はF1から引退するつもりはまったくありません。僕は今まさに、自分自身これまでのなかで最高のドライビングができる状態にあると信じていますし、僕のこれまでのキャリアを通じて信じられないほど熱心にサポートしてきてくれた日本や世界中のファンのみなさんに、もっともっと力強いレースをお見せしたいのです」とコメントを残している。

 スーパーアグリは、2005シーズン終了後にホンダを離脱した佐藤琢磨をドライバーとして迎え入れて2006年にデビューを飾ると、佐藤の日本での絶大な人気を知るホンダは、佐藤の他に井出有治(Yuji Ide)をドライバーとして起用し、すべてが純国産チームだったスーパーアグリへの支持を表明した。

 一部では2009シーズンに、佐藤琢磨がホンダのルーベンス・バリチェロ(Rubens Barrichello)に代わりホンダのドライバーを務めるのではないかとの憶測も飛び交っている。(c)AFP