【12月30日 AFP】ゴルフ界の王子のような存在として2012年をスタートしたロリー・マキロイ(Rory McIlroy、北アイルランド)が、誰もが認める王となってシーズンを終えた。

■男子ゴルフ界の「王者」になったマキロイ

 北アイルランドのベルファスト(Belfast)近郊に位置するホーリーウッド(Holywood)出身のマキロイは、第94回全米プロゴルフ選手権(2012 PGA Championship)でのメジャー通算2勝目を含め、男子米国ツアーで年間4勝を挙げた。さらに史上2番目の若さで世界ランク首位の座に就いて欧米ダブル賞金王を獲得し、第39回ライダーカップ(The 39th Ryder Cup)では欧州選抜の中心選手として大会連覇に貢献した。

 マキロイは気さくな対応と品のある態度が好印象を与えており、加えて自分の能力に対する確かな自信や、修正点を見つけた際には自ら進んで厳しい練習を課す姿勢でも評価されている。

 2009年11月にタイガー・ウッズ(Tiger Woods、米国)がフロリダ(Florida)州の自宅近くの消火栓に車で突っ込んだ事故をきっかけに不倫スキャンダルが発覚し、ウッズはどん底に突き落とされた。それ以来、ゴルフ界ではしばらく世界ランク1位を独占するような絶対的王者の不在が続いていた。

 マキロイの年齢を考えれば、この先20年近く、2030年代ごろまで世界ランクのトップ争いを続けていける可能性は十分にある。

 とはいえ、2012年はマキロイにとって素晴らしいことばかりではなかった。好調なシーズン序盤を過ごした後、晩春から夏にかけては「ボールから目が離れていた」と自身が語るように、欧州ツアーも含めて出場5試合で4回の予選落ちを喫した。その間、連覇をかけて挑んだ第112回全米オープン選手権(2012 US Open Championship)も予選敗退に終わっている。

 しかし、短期間で見事に修正を施したマキロイは、全米プロで8打差をつける圧巻の勝利を飾って、再浮上を果たした。

 そこから欧州ツアーのシーズン最終戦、ドバイ・ワールドチャンピオンシップ(Dubai World Championship 2012)で有終の美を飾るまで、その戦いぶりは他を圧倒していた。マキロイが今現在、世界で群を抜いて強い選手であることは名だたるライバルたちも認めている。

 トーレパインズ(Torrey Pines)で開催された第108回全米オープン選手権(2008 US Open Championship)を最後にメジャーでの勝利から遠ざかっているウッズは、現在メジャー通算14勝と、ジャック・二クラウス(Jack Nicklaus)氏が持つ歴代最多記録の18勝にあと4勝と迫っている。それでも2012年は年間3勝を挙げて復活を印象付けるシーズンとなり、世界ランクも2位まで戻してきた。

 新たに勃発したウッズとマキロイの13歳差のライバル対決は、2013年に向けてさらにヒートアップしていくとみられる。

■メジャーで刻まれた激戦の数々

 4月に開催された第76回マスターズ・トーナメント(The Masters Tournament 2012)では、歯に衣着せぬ言動で有名なバッバ・ワトソン(Bubba Watson、米国)が感動的な勝利を収めた。ルイ・ウーストハイゼン(Louis Oosthuizen、南アフリカ)とのプレーオフで木の茂みの間を抜けたフックショットは、多くの観客の記憶に残る1打となった。

 カリフォルニア(California)州サンフランシスコ(San Francisco)のオリンピック・クラブ(The Olympic Club)で行われた第112回全米オープン選手権(2012 US Open Championship)では、難コースを攻略したウェブ・シンプソン(Webb Simpson、米国)がメジャー初制覇を達成した。

 また、英リザム(Lytham)のロイヤルリザム・アンド・セントアンズ(Royal Lytham and St Annes)で行われた第141回全英オープン(The 141st Open Championship)では、オーストラリアのアダム・スコット(Adam Scott、オーストラリア)が上がり4ホールで自滅し、ベテランのアーニー・エルス(Ernie Els、南アフリカ)がタイトルをさらった。

■ライダーカップで奇跡の逆転を果たした欧州チーム

 イングランドのイアン・ポールター(Ian Poulter)が、9月末にイリノイ(Illinois)州メディナ(Medinah)のメディナCC(Medinah Country Club)で開催されたライダーカップの主役となった。

 初日、2日目と米国選抜が圧倒的優位に立ち、このままでは最終日のシングルス12戦では欧州選抜の逆転はもはや不可能かと思われた。

 そんな中、マキロイとのペアで2日目午後のフォアボール最終マッチに臨んだポールターは、衝撃の上がり5連続バーディをマークした。最終ホールまでもつれた対決で、マキロイ/ポールター組はそれまで負けなしの米国選抜のジェイソン・ダフナー(Jason Dufner)/ザック・ジョンソン(Zach Johnson)組を下した。

 ウィニングパットを沈めたポールターが見せたガッツポーズは、最終日をポイント10-6で迎えることになった欧州選抜にいちるの望みを感じさせた。

 さらに最終日のシングルスでもポールターの効果は続き、欧州選抜が事前の予想をことごとく覆してシングルスだけで8.5-3.5と欧州が勝ち越し、ライダーカップ史上かつてない逆転劇を実現した。

 ポールターはこの大会で4試合全勝を挙げた。2年に1度、欧米の雌雄を決する対抗戦がポールターが持つ最大限の能力を発揮させることは、本人も認めている。(c)AFP