アームストロング氏「ドラッグ無しでの優勝は無理」、選手らが反論
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【6月29日 AFP】ドーピングにより自転車競技からの永久追放処分を受けたランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏が、28日に仏紙ル・モンド(Le Monde)に掲載されたインタビューで、禁止薬物を使わずにツール・ド・フランス(Tour de France)を制覇するのは「無理」だと話した。
アームストロング氏が現役だった時代に、運動能力向上薬に頼らずしてレースを優勝することは可能だったかという質問に対し、同氏は「どの大会かにもよる。ツール・ド・フランス?その場合は不可能だ」と答えた。
「ツールは耐久レースなので、酸素が決め手となる。例えば100メートルでエリスロポエチン(Erythropoietin、EPO)を使用しても意味はないが、1万メートルの長距離だとはっきりとした効果がでる。当たり前のことだ」
1999年から2005年にかけてツール・ド・フランスで7年連続総合優勝したアームストロング氏は、2012年に米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping Agency、USADA)の調査でドーピングを行っていたことが発覚し、これまで獲得したツールのタイトルを剥奪された他、自転車競技から永久追放処分を受けた。
アームストロング氏は長年に渡り薬物使用を否認していたが、その後のテレビインタビューで、ツールで優勝するために自己輸血ドーピングを行ったり、EPOや男性ホルモンのテストステロン(Testosterone)などの様々な薬物を摂取していたことを認めた。
■選手や関係者がアームストロング氏に異議
今回のアームストロング氏の発言に対し、選手や関係者らが反論した。
2011年のツール覇者、BMCレーシングチーム(BMC Racing Team)のカデル・エヴァンス(Cadel Evans、オーストラリア)は、不正行為をしなくても優勝できることを自身が証明していると記者会見で語った。
「僕は反対の意見を持っている。僕自身が、アームストロングが間違っているという証拠だ」
またアームストロング氏の発言が、29日に開幕を控えた記念すべき100回目のツール・ド・フランス(2013 Tour de France)から注目を奪っているという批判もある。
エヴァンスは、「たまにアームストロングの発言をメディアで読む。彼のことは人として尊敬しているが、今僕は自分の仕事でベストを尽くすことに集中している」と言う。
「周りには素晴らしい人たちがいて、サポートしてくれている。我々はもちろんルールを順守して、正しいと思うやり方で仕事をしようとしているんだ」
■アームストロング氏は「利己的」
また、国際自転車競技連合(UCI)の パット・マッケイド(Pat McQuaid)会長もアームストロング氏の意見を退けた。
「過去はそうであったのかもしれない。昔はEPOのように検出できない薬物があったから」とマッケイド会長はラジオのインタビューで語った。
「だから自転車競技や他の耐久スポーツではみんなEPOを使っていた。しかし現在のシステムはもっと厳格になっているし、クリーンに耐久スポーツを行うこと、クリーンにツールで優勝することは可能だと確信している」
UCIがアームストロング氏と共謀してドーピングの事実を隠匿したのではないかとの疑いを持たれ、辞任を迫られたこともあるマッケイド会長は、同氏のことを「利己的」と非難する。
「ツール・ド・フランスは今週末(28日)に開幕する。だからこそこの時期を狙って彼は大会や関係者を糾弾しているのだ」
「アームストロングは自分のことしか考えないような人間だ」
(c)AFP/Andy Scott