【5月29日 AFP】米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)は28日、自転車競技からの永久追放処分を受けたランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏が設立した、がん撲滅を目指す慈善団体「リブストロング基金(Livestrong Foundation)」とのスポンサー契約を打ち切ることを発表した。ただし、今後も資金援助は継続する。

 リブストロング基金がナイキとの提携関係の解消を公表したのを受けて、同社は2013年以降は「リブストロング」関連商品の生産を行わないことを発表した。

「ナイキは『Holiday 2013』ラインを最後にリブストロング基金ブランドの商品の生産を停止する。とはいえ、がんと闘う人々を支え、快方のために尽力する同基金の活動に対しては直接寄付することで支援を続けていく」

 同ブランドの商品を代表するシリコン製の黄色のリストバンドは、これまでに8700万個が出回っている。

 テキサス(Texas)州オースティン(Austin)に拠点を置く同基金は、2004年から総額1億ドル(約100億円)を超える資金の捻出に寄与したとしてナイキに謝意を示した。同社は昨年10月の時点でアームストロング氏個人とは一切の関係を断ち切っている。

 同基金は、「ナイキに深く感謝している。がんに侵された人々を支えるために捧げてくれた時間や援助のみならず、パートナー関係が続いた9年間を通じて創造性をもたらしてくれた」とコメントをした。

 アームストロング氏は過去に精巣がんを克服し、その後自転車競技界で最高の権威を持つツール・ド・フランス(Tour de France)で7連覇を達成したことで、何百万人ものがん患者の希望の象徴となった。

 しかし昨年、米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping AgencyUSADA)がアームストロング氏の全タイトル剥奪と自転車競技からの永久追放の処分を下し、これに対し同氏は不服申し立てを行わなかった。今年1月には、有名女性司会者のオプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)さんが司会を務めるトーク番組に出演し、禁止薬物使用の事実を認めている。(c)AFP