【4月24日 AFP】米国司法省は23日、ドーピングを行った元自転車競技のランス・アームストロング(Lance Armstrong)被告が米郵政公社(U.S. Postal Service)から不当なスポンサー料を受け取っていたとして、正式に訴訟を起こした。

 アームストロング氏は昨年、米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping AgencyUSADA)の調査結果にもとづきドーピングの疑いがかけられ、、自身の獲得タイトルを剥奪された。今年1月に運転能力向上薬を使用してツール・ド・フランス(Tour de France)で7連覇を達成したことを告白した。

 この告白を受けて米国政府は2月、元チームメイト、フロイド・ランディス(Floyd Landis)氏が2010年に起こした損害賠償訴訟に加わることを発表していた。

 米NBC Newsや、アームストロング氏の地元であるテキサス(Texas)のオースティン・アメリカン・ステイツマン(Austin American Statesman)紙の報じたところによると、政府は同氏のチームに支払ったスポンサー料の3倍の額の賠償金を求めているという。

 ランディス氏の告発によると、チームは約4000万ドルをスポンサー料として受け取った他、アームストロング被告も1700万ドルを受け取っており、賠償金額は1億5000万ドル(約149億円)となる可能性がある。

 米政府は訴状の中で被告の違法行為により、契約違反があったことを指摘した。

 また、訴状には薬物の検出を逃れるためにアームストロング氏のチームが行った巧妙な隠蔽工作についての記述もあった。スポンサー契約に反していると知っていながらもチームマネージャーがドーピングに関与したいたことにも言及した。

 一方で、アームストロング氏の代理人、エリオット・ピーターズ(Elliot Peters)氏は郵政公社が1998年~2004年までわたって行っていたスポンサー活動の結果として、損害を被ったとは考えにくいと反論した。

 ピーターズ氏はAFPに送った声明の中で「司法省によるランス・アームストロングへの訴訟は日和見的かつ欺瞞(ぎまん)に満ちている」と述べ、「チームへのスポンサー活動を通して、郵政公社は多大なる利益を受け取っている。これを決定的に示す証拠はいくらでもある。郵政公社は詐欺の被害になどあってはいない」と論じた。

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