【4月5日 AFP】ドーピングにより自転車競技からの永久追放処分を受けたランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏が、国際水泳連盟(FINA)の反発により、テキサス(Texas)州で行われる競泳大会への出場を取りやめたことが明らかになった。

 禁止薬物を使用した疑いでツール・ド・フランス(Tour de France)7連覇のタイトル剥奪と、自転車競技からの永久追放の処分を受け、その後ドーピングの事実を認めたアームストロング氏は、今週末に開催される全米マスターズ水泳協会(US Masters SwimmingUSMS)主催大会への出場を希望していた。

 これを受けてFINAは、即座にアームストロング氏の出場を禁止し、ドーピング違反を行った同氏の出場は認められないとの見解を示した。

 米国で中高年の水泳競技を統括するUSMSは、声明で「ランス・アームストロング氏はUSMS主催大会の出場資格を持っていない」と発表している。

■全米マスターズ水泳協会「アームストロング氏の公式大会出場は認められない」

 アームストロング氏はUSMSの会員資格を持っているが、FINAと米国水上競技連盟(United States Aquatic Sports)は、たとえ25ヤード(約23メートル)の短水路プールで行われる小さな大会であったとしても、公式大会である以上は自転車競技から永久追放処分を受けている同氏の出場を認めないとしている。

 USMSは声明で「世界反ドーピング機関(World Anti-Doping AgencyWADA)は、アームストロング氏の大会出場を禁止している。FINAはWADAの規程を承認しており、米国水上競技連盟に加盟しているUSMSはその裁定を尊重する」とコメントした。

 USMSで理事を務めるロブ・ブッチャー(Rob Butcher)氏は、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に対し、自分がアームストロング氏の代理人に出場を許可しない意向を伝えたと語っている。この通達を受け、アームストロング氏は大会出場を取りやめた。

 USMSは「米国水上競技連盟とFINAが話し合いを行った結果、アームストロング氏はUSMS会員で出場資格はあるものの、現時点では大会の規模に関係なく、公式大会への出場は認められないとの結論にいたった」としている。

 所属していた「USポスタルサービス(U.S. Postal ServiceUSPS)」で複雑なドーピングプログラムの中心を担っていたとして、アームストロング氏は2012年10月に米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping AgencyUSADA)からツール・ド・フランスのタイトルを含む1998年8月以降の全記録剥奪と、自転車競技からの永久追放処分を受けた。

 そして今年1月には、米女性司会者のオプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)氏とのテレビインタビューでドーピングを告白し、現役時代に血液ドーピングやエリスロポエチン(ErythropoietinEPO)、男性ホルモンのテストステロン(testosterone)などを使用していたことを認めた。(c)AFP