【10月18日 AFP】自転車ロードレースのツール・ド・フランス(Tour de France)で7連覇を達成しながらドーピング疑惑で競技からの永久追放処分を受けたランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏の契約スポンサー企業が17日、次々と契約打ち切りを発表した。

 アームストロング氏をドーピング違反で告発した米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping AgencyUSADA)は前週、永久追放処分に至った詳細な証拠をまとめた1000ページにわたる調査報告書を公表した。アームストロング氏は一貫してドーピング疑惑を否定し、USADAの告発は「魔女狩り」だと批判しているが、長い争いに疲れたとの理由で今年8月、法廷闘争の継続を放棄。競技からの永久追放が決まっている。

 こうした中、スポーツ関連製品大手ナイキ(NIKE)は17日、「アームストロング氏がドーピング行為に加わり、10年以上もわが社を欺いていたという証拠は、どうやら動かしがたいものと見受けられる。したがって、わが社は同氏との契約打ち切りを決めた」との声明を発表。広告にアームストロング氏を起用していたベルギーのビール大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ (Anheuser-Busch InBev)も同日、12月に切れる同氏との契約を更新しない方針を明らかにした。

 また、アームストロング氏のツール7連覇を支えた自転車メーカーのトレック(Trek)も、「USADAの発見と結論にがっかりした。報告書を受けて、長年にわたるアームストロング氏との関係を絶つことにした」と発表した。

■「リブストロング」代表を辞任

 スポンサー企業の多くは、ガンを克服し奇跡的な復活を果たしたアームストロング氏が15年前に立ち上げた、ガン患者やその家族を支援する「アームストロング財団(Lance Armstrong FundationLAF、別名:リブストロング、Livestrong)」に対する支援は継続するとしている。

 アームストロング氏は同日、ドーピングスキャンダルによる悪影響を避けるため、LAF会長を辞任すると自身のウェブサイトで発表した。

 精巣ガンが脳や肺にまで転移しながらも自転車選手として復活し、ツール・ド・フランス7連覇という偉業を成し遂げたアームストロング氏には、多くの人びとが勇気付けられてきた。リブストロングにはこれまで5億ドル(約400億円)の寄付が寄せられ、ナイキの支援で2004年に始めたイエローリストバンドは8000万個以上を売り上げている。

 アームストロング氏は19日に米テキサス(Texas)州オースティン(Austin)で行われるLAF創設15周年記念イベントには出席する予定で、USADAの報告書公開以来初めて公の場に姿を見せることになる。(c)AFP/Charles Boisseau