【11月19日 AFP】現役復帰を発表した自転車ロードレーサーのランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏が、再び参加する2009ツール・ド・フランス(2009 Tour de France)で、観客から何らかの危害を加えられるのではないかと危惧していることを明かした。

 自身を取り巻くドーピング疑惑が、自転車ロードレース最高峰の大会の魔力や信頼性を台無しにするのを助長したとしてフランスのファンの反感を買い、ファンから標的とされるのではないかと考えているアームストロング氏は、英ガーディアン(Guardian)紙のインタビューに対し「危険な状況に身を置きたくは無いが、こういった類のものがフランスから流れ出ているのは知っているだろう。攻撃的な怒気がある。もし読んだものを信じるならば、私の安全というものは危ういものになるだろう。ロードレースは公道で行われるスポーツで、観客は沿道に並んでいる。彼らが私のことを好まないとしても、レースをつつがなくやらせてもらえるとその人たちを信じようと思う」と語り、それはツール・ド・フランスで危害を加えられることを危惧しているという意味か否かを尋ねられたアームストロング氏は続けて「そうだ。フランスのあるチームの監督が人々に肘と肘をあわせて道に飛び出るようにけしかけていた。とても感情的でピリピリしている」と語った。

 アームストロング氏は1999年から2005年にかけてツール・ド・フランスで7連覇を達成したが、睾丸がんを乗り越えた同氏の偉業は運動能力向上薬物を使用した上で行われたという根拠の無い主張に汚されている。

 2005年にフランスのレキップ( L’Equipe)紙は、過去に遡って行われた検査で1999年のツール・ド・フランスでのアームストロング氏の6つの尿サンプルから微量の血液増強剤エリスロポエチン(ErythropoietinEPO)の反応が検出されたと報じた。しかし、国際自転車競技連合(International Cycling UnionUCI)によって命じられた調査では、問題のサンプルのテストが正しく行われたものではなく、結果については信頼できる証拠とは考えることが出来ないという結論に達している。

 アームストロング氏は、フランスの反ドーピング機構が誠意として正式に再テストを行うことを要請してきたが、彼らが薬物汚染は無かったと納得することが有り得ないとして要請を断ったと、ガーディアン紙に対し再度語っている。(c)AFP