【7月12日 AFP】2008ツール・ド・フランス(2008 Tour de France)で初めてとなるドーピングスキャンダルが起こり、リクイガス(Liquigas)のマヌエル・ベルトラン(Manuel Beltran、スペイン)が尋問のためフランスの警察当局に連行された。

 フランス反ドーピング機関(Agence Francaise de Lutte contre le DopageAFLD)の関係者は11日、ランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏のツール・ド・フランス7連覇のうち最後の3連覇に貢献したベルトランが、5日の第1ステージでの検査でエリスロポエチン(ErythropoietinEPO)の陽性反応を示した、と語っている。

 リクイガスは、予備検査の結果を待つと同時に、ベルトランに出場停止処分を下すこととなった。

 アレクサンドル・ヴィノクロフ(Alexandre Vinokourov、 カザフスタン)のドーピング陽性反応によりアスタナ(Astana)が棄権に追い込まれた前回大会を思い起こすような光景の中で、ベルトランは警察によりホテルの部屋を捜索された後に連行された。

 リクイガスの広報担当者はAFP通信(Agence France-Presse)に対し「警察は尋問のためにマヌエルを連行した。マヌエルをは一人部屋を使用していたが、捜索されたのは彼の部屋だけだ」と語っている。

 AFLDのPierre Bordry氏は、AFPに対しベルトランの陽性反応について「ベルトランは、我々が行った検査の結果を伝えられ、自身の権利についても知らされている。血液サンプルに異常が見られたので、ベルトランから5日に尿サンプルを採取した。結果として尿サンプルからはEPOが検出された」と語り、採取されたベルトランの血液サンプルに異常が見られたために尿サンプルの検査を行ったことを明らかにしている。

 リクイガスは、ベルトランに出場停止処分を下したものの、今回の件はベルトランの個人的な問題であると主張した。大会主催者にベルトラン個人の問題であると納得させることができるならば、リクイガスは大会に引き続き参加できるものと見込まれている。

 チームマネージャーのロベルト・アマディオ(Roberto Amadio)氏は「まず初めにマヌエルに出場停止処分を下した。彼は『何も間違ったことはしていない』と言っており、予備検査が行われることを望んでいる。それまでに我々にできることは、彼を出場停止にすることだけだ。仮に予備検査で陽性反応を示した場合には、彼との契約は打ち切る」と語っている。

 1995年にマペイ(Mapei)でプロ選手としてのキャリアをスタートさせたベルトランは、2003年にUSポスタルサービス(U.S. Postal Service)(後のディスカバリーチャンネル・プロサイクリングチーム、Discovery Channel Pro Cycling Team)に加入し、アームストロング氏の大会7連覇のうち2003、04、05年を手助けした。2007ツール・ド・フランス(2007 Tour de France)にはリクイガスの選手として出場し、総合18位で大会を終えている。(c)AFP/Justin Davis