【6月10日 AFP】ドイツの携帯電話会社で自転車競技チームを所有するT-モバイル(T-Mobile)は9日、7月7日に開幕するツール・ド・フランス(2007 Tour de France)のドイツ国内放送のスポンサーから撤退する意向であることを明らかにした。

ドイツ国内における自転車競技はT-モバイルの前身、テレコム(Telekom)に所属していた選手たちによるドーピング告白により騒動の渦中にあるが、T-モバイルは企業としてのイメージを守るためスポンサーから撤退するとのことである。

ドイツの週刊誌デア・シュピーゲル(Der Spiegel)は、ドイツ公共放送連盟(ARD)と第2ドイツテレビ(ZDF)がT-モバイルの決定に反対の意向を示していると伝えた。またデア・シュピーゲルは、ARDが打開策を検討しているが、T-モバイルはスポンサーから撤退し、現在支払っているスポンサー費用を国内の反ドーピング機関への援助に当てたいと考えているとも伝えている。

T-モバイルは毎回の放送開始時に放送される「The Tour de France is brought to you by T-Mobile」という文章のために100万ユーロ(約1億6000万円)を支払っている。

テレビスポンサーからの撤退に加え、T-モバイルは5月のドーピング検査結果に疑問を持たれているチームのセルゲイ・ゴンチャール(Serhiy Honchar、ウクライナ)を今年のツール・ド・フランスには出場させないことも明らかにした。

■テレコム関係者のドーピング問題

これまでに、06UCIロード世界選手権(2006 UCI Road World Championships)・男子ロードレースで銀メダルを獲得したチームミルラム(Team Milram)のエリック・ツァベル(Erik Zabel、ドイツ)は、テレコム所属時代の96年に禁止薬物に指定されているエリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)していたことを認め、ツァベルの元チームメイトで現在T-モバイルのスポーツディレクターを務めるメイトロルフ・アルダグ(Rolf Aldag)氏も、1995年-2002年の間にドーピングを行っていたことを認めている。

またテレコムでトレーナーを務めていたJef d’Hon氏は、97年のツール・ド・フランス覇者でドーピング疑惑から2月に引退したヤン・ウルリッヒ(Jan Ullrich、ドイツ)がEPOを使用していたと暴露し、96年の同大会覇者で大会中に禁止薬物を使用していたことを認めた元テレコムのビャルネ・リース(Bjarne Riis、デンマーク)氏は、同大会のタイトルを剥奪されたている。

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