【6月7日 AFP】ベルギー検察当局は7日、2005年のUCIロード世界選手権(UCI Road World Championships)を制したトム・ボーネン(Tom Boonen、ベルギー)、2006年同大会王者のパオロ・ベッティーニ(Paolo Bettini、イタリア)を擁する自転車競技チーム、クイックステップ・イネルゲティク(Quick Step-Innergetic)の選手やトレーナーの自宅を家宅捜索した結果、禁止薬物を押収したことを明らかにした。

当局のスポークスマン、Tom Janssen氏はAFPに対し、「北部フランドルと南部ワロンで約40人の捜査員による家宅捜索を行った結果、禁止薬物を押収した」と伝えた。またJanssen氏は、フランドル地方出身の政治家Jean-Marie Dedecker氏がイタリアでのベルギー人選手のドーピングを告発したことにより06年の9月からクイックステップに対する捜査を行っていたことも明らかにした。

クイックステップは今年始め、ベルギーの「Het Laatste Nieuws」紙が匿名での証言を元に、チーム主導で禁止薬物に指定されているエリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)やコカインによるドーピングが行われている上、国際自転車競技連合(UCI:International Cycling Union)にクイックステップの内通者がいて検査予定を密告していると報道したことにより、ドーピング疑惑にさらされた。チームは疑惑を否定しドーピングを主導したと報道されたパトリック・ルフェーブル(Patrick Lefevere)監督は2050万ユーロ(約33億円)の賠償請求を起こしているが、チームや監督に対する疑惑は晴れていない。

ベルギーの通信社ベルガ(Belga)は「この問題に関しては全く無関係だ。何も語ることはない」とルフェーブル監督の言葉を伝え、スポーツディレクターを務めるビルフリート・ペータース(Wilfried Peeters)氏が、「この問題に関してはコメントは控えたほうがいいと思う」と同紙に対し伝えたことを明らかにした。

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