【ボン/ドイツ 3日 AFP】多くの自転車競技トップ選手を巻き込むドーピング問題の首謀者とされるエウフェミアーノ・フエンテス(Eufemiano Fuentes)医師のオフィスで見つかった血液が、1997年ツール・ド・フランス(Tour de France)の覇者で先日引退を発表したヤン・ウルリッヒ(Jan Ullrich、ドイツ)の物である事が確認された。

 フエンテス医師との関わりが伝えられたウルリッヒから2006年6月に唾液を採取し、押収された「Jan」や「N.1」の番号で保存されていた血液との照合を行っていたボン裁判所のFriedrich Apostel検事は3日、押収された血液がウルリッヒのものであることが「疑いようのない事実」としてその事実を発表した。

 これを受けてウルリッヒの弁護人を務めるJohann Schwenn弁護士は、この検査結果を「不正」であると断じた上で「我々は警察に捜査文書の提出を求めており、その回答を待っている段階ではあるが、現時点でスペインの司法当局や国際自転車競技連合(International Cycling Union)が公表した文書の内容と大きく異なっており、何らかの操作がなされた可能性が極めて高いと言わざるを得ない。よって、我々はウルリッヒが無実であるというスタンスを変える理由がどこにも見当たらない。」と述べ、裁判所と全面的に対決する姿勢を明らかにした。

 ドイツでは反ドーピング法が制定されていない中でボン裁判所は、犯罪学の専門家でビーレフェルト大学のBritta Bannenberg氏がウルリッヒを告訴したことを受けて調査に乗り出していた。

 ウルリッヒは、スペインの司法当局がオペラシオン・プエルト(Operacion Puerto)と名づけた薬物捜査でドーピング事件との関与が認められ、2006ツール・ド・フランス(2006 Tour de France)への出場停止処分が下され、その後当時所属していたTモバイル(T-Mobile)から解雇されて2月26日に引退を発表。ウルリッヒは、その会見でもドーピングとの関わりを改めて否定するなど、一貫して身の潔白を訴えている。

 写真は、ツール・ド・フランスへの出場停止処分が下され、会見を終え車に乗り込むウルリッヒ(2006年6月30日撮影)。(c)AFP/FRANCK FIFE