【4月8日 AFP】米大リーグ(MLB)、テキサス・レンジャーズ(Texas Rangers)に日本人選手史上最高額で入団したダルビッシュ有(Yu Darvish)は、右腕の活躍だけに全てが賭けられているわけではない。

 ダルビッシュは、これまでMLBで成功できなかった日本人選手と、ワールド・ベースボール・クラシック(World Baseball Classic、WBC)連覇中の日本球界のプライドも背負っている。
 
 レンジャーズはポスティング(入札)制度による交渉権を5170万ドル(約39億円)で獲得すると、ダルビッシュと出来高を含む6年総額約6000万ドル(約46億円)で契約合意した。日本人選手獲得に費やした金額としては史上最高額を支払っての契約となった。

 日本文化や野球界に関する本を数多く執筆した米国人作家のロバート・ホワイティング(Robert Whiting)氏はAFPに対し、「彼の成功には多くの意味が含まれる」との見解を示した。

 今シーズンMLBに移籍した日本人選手はダルビッシュを含めて5人で、全体では10球団15人になるが、ホワイティング氏は「米球界に向けて日本を離れた投手の中では最高位の選手だと思う」とコメントした。

 しかし、MLB特有の滑りやすいボールと硬いマウンドに苦労することも予想し、「30の異なる球団や球場、審判団、そして日本より荒いプレースタイルに慣れるのは容易ではない」と話した。

 また早稲田大学スポーツ科学学術院の原田宗彦(Munehiko Harada)教授は「レンジャーズは、ボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)の松坂大輔(Daisuke Matsuzaka)がそうだったように、ダルビッシュの成功が日本人観客数や日本での放映権契約数を増加させることに繋がると考えている」と指摘する。

 ここまでオープン戦4試合に登板し、15回を投げて12安打8四球21奪三振、防御率3.60を記録しているダルビッシュは、「いい球がすごく多くなってきて、ちょっとずつ本当に良くなっています。日本でやってきたことをそのまま続けたい」とコメントしている。(c)AFP/Shigemi Sato