【1月7日 AFP】(一部修正)MLBニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)からフリーエージェント(FA)となっているロジャー・クレメンス(Roger Clemens)投手は、米CBSテレビで6日に放送された「60ミニッツ(60 Minutes)」のインタビューの中で、これまで運動能力向上薬を使用したことは一切ないと否定した。しかし、ではなぜ自身の元トレーナーであり友人だったブライアン・マクナミー(Brian McNamee)氏が嘘の証言をしているかという質問については十分な説明はなかった。

 放送前に公表されたインタビューの一部の中でクレメンスは、マクナミー氏が数シーズンに亘ってステロイドの注射をクレメンスに行ったという嘘の証言をジョージ・J・ミッチェル(George J. Mitchell)元上院議員の調査団に対して行なったと発言していた。

 クレメンスは同番組で「私の体には何も変化は起きていなかった。もしマクナミー氏が本当にそのような物を私に注射していたのなら、私の額からは三つ目の耳が出てきていただろし、歯でトラックを引っ張ったりしているはずだ。もし本当にそれが私にとって素晴らしいものなら、なぜ今も使い続けていないと思う?私は健康を害しましたか?私の腱は機能を失ってしまいましたか?それだけのことです。ドーピングはその場凌ぎにしかなりません。そんなものを私は信じていない。私はやってないんです」また、「私の練習はハードだからあなたたちもやってみるといい。球場で私と共に練習をしていた選手の誰でも構わないので聞いてみてください。私は現役中ハードな練習をこなしてきた。ドーピングなどするはずがない。私は身を粉にして今の場所を手に入れたんだ」と語った。

 また、これまで2度の引退からの復帰を果たしたクレメンスは、このまま引退することを示唆している。

 同番組のインタビューは1週間以上も前にクレメンスの故郷であるテキサス(Texas)で行われた。クレメンスは7日に記者会見を開きさらに多くの質問に答える予定になっている。

 マクナミー氏は連邦捜査官から嘘の証言をすれば嫌疑を受けることになると告げられ、ミッチェル氏のメジャーリーグにおける薬物調査への協力を要請された。2007年12月13日に公表されたミッチェル氏の報告書では約80人の選手名が挙げられ、クレメンスの件はマクナミー氏の証言を基に明らかにされた。マクナミー氏はクレメンスとアンディ・ペティット(Andy Pettitte)がステロイド(steroid)とヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone、HGH)を使用していたと証言し、ペティットは既に怪我をしていた際に運動能力向上薬を使用した事実を認めている。しかし問題となっている期間には二つの薬物は禁止薬物に指定されていなかった。

 マクナミー氏にとっては何も得るものがなく、全てを失うかもしれないのに一体なぜなぜ偽証罪で逮捕される危険を冒してまでそうしたことをするのかをクレメンスに尋ねたら、マクナミー氏が刑務所に入ることを心配していたことをクレメンスは明かした。「マクナミー氏がステロイドを購入し、動かしていたことは間違いないと思う」と語った。しかし、この発言はなぜペティットについての真実を語ったマクナミー氏が、クレメンスに関しては嘘を主張したかの説明になっていない。「アンディの件は全く別のこと。私はアンディの状況を知ってショックを受けている。全く意味が分からなかった」と語り、クレメンスはマクナミー氏がそうした裏切り行為を行なった理由を思いつくことが出来なかった。

 クレメンスは「私はアンディの件にはとても腹が立っている。私がこれまでどのようにマクナミー氏と接してきたか、どれほど面倒を見てきたか。彼には公平に接してきたし、他の誰よりも誠意を持って接してきたつもりだ。私は彼をサポートしていたんだ」とマクナミー氏を語っている。

 マクナミー氏の弁護団は、もしマクナミーがミッチェル氏に嘘の証言をしているとクレメンスが言うのなら、名誉棄損で訴える意向を明かしていた。

 現地4日にマクナミー氏と電話で話をしたと報じられているクレメンスは、マクナミー氏から注射されたのはリドカイン(lidocaine)とビタミンB12(Vitamin B-12)だけと述べていた。(c)AFP