【12月6日 AFP】(一部修正)米国メジャーリーグ(MLB)最多本塁打記録保持者でサンフランシスコ・ジャイアンツ(San Francisco Giants)の元外野手、バリー・ボンズ(Barry Bonds)被告(43)が、筋肉増強剤などの薬物使用を否定し偽証罪で起訴された事件で、7日開かれる初公判に罪状認否のため被告本人が出廷する。

 ボンズ被告の公判は、栄養補助食品会社バルコ(Bay Area Laboratory Co-operativeBALCO)によるステロイド剤提供事件に関連する裁判で判事を務める連邦地裁のスーザン・イルストン(Susan Illston)判事(59)が担当する。

 イルストン判事はバルコ社関連事件で5件の有罪判決を言い渡しており、その中にはボンズ被告の個人トレーナーであるグレッグ・アンダーソン(Greg Anderson)被告も含まれている。

■最大30年の禁固刑の可能性も

 ボンズ被告は米連邦大陪審でのバルコに関する審理の際、運動能力向上薬の摂取は行っていないと虚偽の発言をし、4件の偽証罪と1件の司法妨害の罪で起訴されている。すべて有罪となれば最大で30年の禁固刑を言い渡される可能性もある。公判期日は2008年初頭に指定される見込みだ。

 2007年シーズンにハンク・アーロン(Hank Aaron)氏の持つメジャー通算本塁打数記録を更新し、通算762本塁打まで記録を伸ばしたボンズ被告自身は不正を否定しているものの、バルコとの関係がドーピング疑惑の暗雲となり、その偉業に影を落としている。

 地元紙サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)が、非公開だったボンズ被告の米連邦大陪審供述を掲載したり、同紙発刊の書籍「ゲーム・オブ・シャドー(Game of Shadow)」によって薬物使用歴が暴露されるなどし、野球史に名を残す業績を持ちながらファンからもさげすまれつつある。

 イルストン判事は2005年にバルコの創業者、ビクター・コンテ(Victor Conte)氏に禁固4月、執行猶予4月の判決を言い渡した際、より厳しい判決が妥当だが、連邦判決ガイドラインの制限によってそれができないのが不満だと語っている。

■ボンズ被告以外にも問題は波及するか

 検察側はボンズ被告を立件するため、証拠集めに4年を費やした。起訴状では「捜査の過程で、ボンズ被告やほかのプロスポーツ選手の薬物テスト結果で、筋肉増強剤や運動能力向上物質に対する陽性反応が出た証拠を入手した」とし、ボンズ被告がドーピング検査で不合格だったという反証も挙げている。

 公判の日時が迫る中、MLB側はジョージ・J・ミッチェル(George J. Mitchell)元上院議員による報告書の完成を待ち受けている。この報告書はMLB機構のバド・セリグ(Bud Selig)コミッショナーが依頼したもので、ミッシェル氏はこれまでに約20か月を費やし、スポーツ界におけるドーピングの実態について調査している。セリグ氏は「過去のステロイド使用に関連するすべての問題にしっかり向かい合えるレポートと調査結果を受け取ることができるだろうと期待している」と語っている。

 同報告書は年内にも公表される予定で、その中ではMLB機構のドーピングテスト開始以前にドーピングを行っていた選手の名前が挙げられることになるとみられる。(c)AFP