【11月16日 AFP】(一部修正)米連邦大陪審は15日、米大リーグ(MLB)最多の762本の本塁打記録を持つバリー・ボンズ(Barry Bonds)外野手(43)を、一連のステロイド使用疑惑における調査で虚偽の証言を行ったとして、偽証罪と司法妨害の罪で起訴した。

 カリフォルニア(California)州司法当局によると、ボンズ外野手は栄養補助食品会社「バルコ(Bay Area Laboratory Co-operativeBALCO)」が関与したドーピングスキャンダルについて連邦大陪審で証言した際、提示すべき詳細情報を明らかにしなかったことが、偽証罪と司法妨害罪に相当すると判断された。

 また、アナボリック・ステロイド(anabolic steroid)など運動能力を向上させる複数の薬物について、ボンズ外野手に陽性反応が認められたことを初めて明らかにした。

 これにより、ボンズ外野手は2007年シーズンの8月7日にハンク・アーロン(Hank Aaron)氏の記録を更新して打ち立てた通算756号のメジャー通算本塁打記録が取り消される可能性も出てきた。

 ボンズ外野手の起訴内容は偽証関連で4件、司法妨害で1件となっており、最高刑はそれぞれ偽証罪が1件について5年、司法妨害罪が10年であることから、有罪が確定した場合、最大で30年の禁固刑が下る可能性もある。

 2003年12月4日に行われたBALCO事件に関する尋問で、ボンズ外野手は訴追免除を条件に大陪審で証言した。しかし、偽証は免責対象に含まれていない。

 ボンズ外野手が起訴されたことについて、MLB機構のコミッショナー、バド・セリグ(Bud Selig)氏は「非常に重く受け止めており、事態の進展を注視していく」と述べ、「野球界におけるステロイド使用の実態が明らかにされることが重要だ。禁止薬物の使用根絶に向けて努力を続ける」との声明を発表した。

 一方、2007年シーズンまでボンズ外野手が所属していたサンフランシスコ・ジャイアンツ(San Francisco Giants)は「とても悲しい日となった。ボンズは長年にわたりチームの中心選手だっただけでなく、時代を代表する名選手だ。我々はこの問題が法廷で解決される日を待つ」との声明を出した。

 ボンズ外野手は、現在フリーエージェント(FA)選手となっている。

 ボンズ外野手の弁護士を務めるマイケル・レインズ(Michael Rains)氏は「ボンズは、現在の地位を築きあげるまで、長年にわたって努力を続けてきた」と同外野手を擁護する。レインズ氏は「新たな証拠として検察側が何を出してくるのか興味深い」と述べ、「法廷での反論機会を待ち望んでいることは言うまでもない」とコメントした。

 ボンズ外野手の罪状認否は、サンフランシスコ地裁で12月7日に行われる。最も注目されるのは、陪審員らがヒーローと悪役の両面を持つボンズ外野手について、どのような評価を下すかという点だろう。

 BALCO絡みの一連のドーピングスキャンダルでは、ボンズ外野手の他にも、ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)のジェイソン・ジアンビー(Jason Giambi)、デトロイト・タイガース(Detroit Tigers)のゲイリー・シェフィールド(Gary Sheffield)など野球のトップ選手や、陸上短距離のマリオン・ジョーンズ(Marion Jones)やティム・モンゴメリー(Tim Montgomery)などの一流選手らにもドーピング疑惑が浮上している。(c)AFP