【10月23日 IDO Securities】ユーロが、大幅続落となっている。早期追加利下げ観測や、本質的には「デレバレッジ」の動きが根底にあると思われるが、昨日の動きは、ユーロ圏と経済関係の深い非ユーロEU諸国の金融情勢が波乱含みとなっていることに連れた面も大きい。22日、ハンガリー中銀は通貨防衛の目的で3%(8.5%→11.5%)の緊急利上げに踏み切った。ハンガリーでは、対GDP比で100%にも及ぶ対外債務残高が問題視されている。外貨比率の内訳は、フォリントが28%、外貨が72%。同国の対外債務残高は、公的部門のシェア縮小、民間部門のシェアが拡大しており、不安定化するリスクの高い短期債務が全体の3分の1程度と見られている。資本調達の海外依存度の高さから、ファイナンスの持続可能性への不信が高じ、折からの流動性不安、信用不安が加わり、資本流出が加速している。
 また、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア(EU未加盟)の経常赤字額は、対名目GDP比10%を超過している。ルーマニアは、ハンガリー同様に外貨建て貸出の割合が高く、全体の5割が外貨、その内の9割近くがユーロ建てとされる。これら諸国への与信エクスポージャーの大半は、ユーロ圏の金融機関が抱えており、その影響も懸念された。
 ユーロと金は、相関の高さが確認できるが、ユーロが既に2007年初旬の安値まで崩れているのに対して、金は下げ幅からは、下げ予知ありと見る向きもある。「質への投資」として買われていた金が、ここにきて大きく売られているのは、キャッシュ化の動きに加え、ユーロとの出遅れ感も材料視されている。2007年初の金価格は600ドル台だったが、金貨を始めとして実需の引き合いは強く、ペーパー取引主導でオーバーシュと気味に下げた金の安値は、現物投資を含めた中長期スタンスからは、妙味ある水準と言えるのではないだろうか。

(投資情報部 菊川弘之)
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)ラジオNIKKEI(加藤ゆり(ミス東大)の経済教室)をはじめ、時事通信等でアナリストの目、テクニカル分析情報を掲載。ブルームバーグTV、日経CNBCなど多数のメディアにも出演中。商品先物関係のアナリストとして著名だが、日経平均先物オプション取引や外国為替取引の分析でも定評がある。

[当情報は情報提供を目的としており、当社取り扱い商品に係わる売買を勧誘するものではありません。内容は正確性、完全性に万全を期してはおりますが、これを保証するものではありません。また、当情報により生じた、いかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。]

(c)アイディーオー証券株式会社
【関連情報】