【9月10日 AFP】シリアの化学兵器使用疑惑をめぐり、中国政府は10日、シリアの化学兵器を国際管理下に置いた上で最終的に廃棄するロシア案への支持を表明した。ロシアはシリアに対する米国の懲罰的な空爆を回避するため、同案を提示していた。

 中国外務省の洪磊(Hong Lei)報道官は北京(Beijing)での定例会見で「ロシア側の提案を歓迎し支持する」と述べた。さらに「国際社会は、その提案が現在のシリア情勢をめぐる緊張を緩和させ、シリア問題を政治的に解決し、シリアと周辺地域の平和と安定を守ることに貢献するものである限り、前向きに検討するべきだ」と付け加えた。

 米政府は、シリア政府軍が先月、化学兵器を使用して1429人を殺害したと非難しており、シリアに対する懲罰的な攻撃に向けて国際的な合意形成を模索している。

 これに対しロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は「化学兵器を国際管理下に置き、その後廃棄する」ことをシリア政府に要求。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、ロシア提案が「重大な突破口」となる可能性があると述べていた。

 中国は国連安全保障理事会(United Nations Security Council)の常任理事国で拒否権を持つ。シリア情勢をめぐっては同じく拒否権を持つロシアと歩調を合わせ、米国とその同盟国による決議を阻止してきた。

 中国政府はこれまでもシリア問題に対して「政治的解決」を呼び掛けている。(c)AFP