【9月10日 AFP】シリアでの化学兵器使用疑惑をめぐり、ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は9日、シリアのワリード・ムアレム(Walid al-Muallem)外相とモスクワ(Moscow)で会談し、シリアの化学兵器を国際管理下に置いた上で、最終的には廃棄するよう呼び掛けた。

 ムアレム外相はこの提案を歓迎。ロシアのタス通信(ITAR-TASS)によると、ムアレム氏は「わが国の指導部は国家の安全と国民の生活を懸念しており、その懸念に基づくロシアのイニシアチブをシリアは歓迎する」との見解を示した。しかし、強硬姿勢を崩していないバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領がこれに同意するかどうかは、現段階では不明だ。

 一方の米政府はこれを慎重に受け止める姿勢を示し、アサド大統領が殺傷能力の高い神経ガスの兵器庫を受け渡すことを望むとしながらも、同政権は信用し難いと警戒。ホワイトハウス(White House)は同案を「精査する」とし、アサド政権の最も強力な支援国であるロシアがシリアの責任回避を許すような動きには必ず反対する構えを見せた。

 また、米国主導の軍事介入に期待を寄せるシリアの反体制派はこの提案を、政権派支持のロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領による謀略だと非難。反体制派組織「自由シリア軍(Free Syrian ArmyFSA)」のセリム・イドリス(Selim Idriss)氏は中東衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)に対し、「われわれは攻撃を求めている。国際社会に対しては、政権側はうそをつくと警告しておきたい。うそつきのプーチンが教師役を務めているのだ。プーチンは大うそつきだ」と語った。(c)AFP/Maria ANTONOVA