【9月7日 AFP】米英の情報機関が電子メールや銀行決済、電話で話した内容など、オンライン上のさまざまな暗号通信を解読していたことが、米中央情報局(CIA)の元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)、非営利の調査報道機関「プロパブリカ(ProPublica)」、英紙ガーディアン(Guardian)に提供した文書で明らかになった。

 文書によれば、米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)は英政府通信本部(GCHQ)と協力してスーパーコンピューターを駆使し、複数の裁判所命令とIT企業からの協力も得て、暗号を解読していたという。

 報道が事実であれば、情報機関の極秘の情報収集プログラムは、電子メールやチャット、スマートフォンを利用した通信まで、インターネット上のデータを安全かつプライベートに保つために使われている暗号の大半を解読できることになる。

 米国の非営利団体「民主主義・技術センター(Center for Democracy and TechnologyCDT)」のジョゼフ・ホール(Joseph Hall)氏はAFPに対し、「非常に衝撃的」だと述べ、報道が事実ならば「送信された情報を安全に保つための基礎が根本から覆されたことになる」と語った。

■米当局の反応は──

 報道を受けて米国家情報長官室(Office of the Director of National IntelligenceODNI)は6日、暗号解読は情報機関の仕事の一部であり、米情報機関が暗号を解読していたことが明らかにされたとしてもそれ自体は「ニュースではない」との見解を示した。

 米国家情報長官室の声明は「歴史を通して、国家は秘密を守るために暗号を使用してきた。現在はテロリストやサイバー犯罪者、人身売買に関わる者たちなども、それぞれの活動を隠すために暗号化を使っている」と指摘し、「わが国の敵対勢力が暗号を利用すれば、わが情報機関が対抗手段を探すのは全く驚くべきことではない」と主張するとともに、NSAと英国の情報機関による暗号解読の手法が新聞に漏らされたことは、米国に敵対する勢力を利する恐れがあると警告した。(c)AFP