【9月4日 AFP】シリアでの化学兵器使用疑惑を受け、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に対する軍事行動実施を目指すバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は3日、下院の野党・共和党の2有力議員から強力な支持を得ることに成功した。米国はシリアに対し、化学兵器使用は断固容認できないという警告を発するための結束を固めつつある。

 議会から対シリア攻撃の承認を得ようと有力議員に働き掛けを続けるオバマ氏は、シリア問題に関する投票が来週に入ってから「即座に」行われることへの期待を示すと同時に、そのために必要となる支持を得ることは可能だと信じていると語っていた。

 オバマ氏と1時間にわたって会談した共和党のジョン・ベイナー(John Boehner)下院議長は、「大統領の(軍事)行動要請を支持するつもりだ」と表明。これまでベイナー氏は、国内政策をめぐりオバマ氏と激しく対立してきており、二極化が進んだ米政局で与野党の団結がみられるのは極めてまれ。さらにベイナー氏は、「これは米国が一国家として行わなければならないことだ」として、他の共和党議員に対しても自らの決断に従うよう呼び掛けた。

 その直後、共和党内の保守層から支持を得るエリック・カンター(Eric Cantor)下院共和党院内総務も大統領支持を表明し、アサド大統領が率いるシリアは「テロ支援国家であり、ならず者国家の典型で、米国の国益と同盟国に対する直接的な脅威となって久しい」と指摘した。

 対シリア軍事行動に対する議員らの支持取り付けについては、オバマ氏の民主党が多数を占める上院と比べ、下院では難航するものと予想されていた。しかし下院の共和党有力議員がオバマ氏支持の姿勢を示したことにより、態度を決めかねている他の下院共和党議員を対シリア攻撃容認へと後押しすることにつながる可能性もある。(c)AFP/Stephen COLLINSON