【9月1日 AFP】米ホワイトハウス(White House)は8月31日、化学兵器を使用した疑いのあるシリア政権に対する軍事行動を承認するよう、議会に正式に要請した。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はこれに先立ち、対シリア軍事行動について議会の承認を求める方針を表明していた。米大統領が議会に軍事行動の承認を求めるのは、米国が第2次世界大戦(World War II)に参戦した1941年以来で、オバマ氏の表明は驚きをもって広く受け止められている。

 ホワイトハウスが議会に提出した決議案では、無制限の新たな戦争への不安を和らげるため、軍事行動は限定的なものにとどめるとしている。また、議会による軍事行動の支持表明は「米国の決意を明確に伝えるものとなる」と説明している。

■軍事行動は事実上先送り

 大統領が議会に軍事行動の承認を要請したことで、実際の行動開始は、米議会が再開される9月9日以降に先送りされることになる。オバマ大統領は、議会決議の有無にかからわず、米国大統領には軍事攻撃の権限があると強調しているが、ホワイトハウス高官は、議会再開までにオバマ大統領が国際的支持を構築することも可能だと語っている。

 アラブ連盟(Arab League)は9月1日にエジプト・カイロ(Cairo)で会合を開き、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を非難する見込み。オバマ大統領は来週、主要20か国・地域(G20)首脳会議に出席するためロシアを訪問する予定だが、緊迫するシリア情勢が首脳会議に暗い影を落としている。

 しかし、オバマ大統領にとって最も手強く、恐らく大統領の信頼性にとって最も危険な敵は、軍事行動支持に回ることが確実とは到底いえない連邦議会の昔の仲間かもしれない。

 実際に観測筋は、オバマ大統領が、8月30日にシリア軍事行動の動議を議会で否決されたデービッド・キャメロン(David Cameron)英首相と同じ運命に直面していると指摘している。(c)AFP