【9月1日 AFP】シリアで化学兵器が使用されたとされる問題で大きな政治的決断を迫られているバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は31日、シリアに対して軍事行動を行うことについて議会に承認を求める考えを示した。これにより、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に対する攻撃がすぐに行われる可能性はなくなった。

 オバマ大統領は、シリア郊外で1400人以上が死亡したとされる化学兵器を使用した攻撃は極めて残忍であり、限定的な軍事行動によってこれに対応することを決断したと述べた。

 しかし、連邦議会と政権の間の権力バランスが揺るぎかねない事態だけに、オバマ大統領は軍事行動に議会の承認を得ることが重要だとの認識を明らかにした。

 今回の決断は、2つの勢力に分裂する議会で野党共和党と疎遠な関係にあるオバマ大統領にとってひとつの賭けだと言える。オバマ大統領は、シリアへの軍事行動について英国議会の承認を得ることができなかったデービッド・キャメロン(David Cameron)英首相と同じ運命をたどる可能性もある。

 オバマ大統領は、民主党が多数を占め、ジョン・マケイン(John McCain)上院議員などシリアへの軍事行動に賛成の共和党議員も多い上院では承認を得られる可能性が高いという見通しを持っているものとみられる。しかし、共和党が多数を占め、オバマ大統領に批判的で同大統領が進めるさまざまな政策に反対してきた保守派議員もいる下院でシリア軍事介入が承認を得られるかどうか予測するのは難しい。(c)AFP