【8月26日 AFP】内戦下のシリアの首都ダマスカス(Damascus)近郊で化学兵器による攻撃で1300人が死亡したとされる問題で、米政府当局者は25日、シリア軍が民間人に対して化学兵器を使用したことに「ほとんど疑問の余地はない」との見方を示した。

 匿名を条件にAFPの取材に応じたこの米当局者は、報告された犠牲者数とその症状や、米国をはじめとする各国が収集した情報から、「今回の事件でシリア政権が化学兵器を民間人に対して使用したことに、現時点ではほとんど疑問の余地はない」と述べた。

 この当局者は、シリア政府が26日に国連の調査団に現地調査を認めたことは米政府も承知しているが、調査の規模が小さすぎる上、実施が遅れたことによって現場に残されていたはずの証拠は「大きく損なわれている」と指摘している。

■米英仏露の対応は?対応決定「数日中」か

 シリアの化学兵器使用疑惑をめぐっては、ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官が指揮する米外交攻勢や、ホワイトハウス(White House)筋のコメント、米国防総省が米艦艇をシリア沖に展開させつつある兆候などから、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が限定的な軍事行動を命じる準備を整えているとの臆測が強まっている。

 こうした中、フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は25日、オバマ大統領との電話会談で、化学兵器攻撃の背後にシリア政府がいたことと「あらゆる証拠が矛盾しない」と述べた。仏政府によると両首脳は「この前例のない攻撃」に共同で対処できるよう緊密に連絡を取ることで一致。またローラン・ファビウス(Laurent Fabius)仏外相は26日、「数日中に」西側諸国が対応を決定すると仏ラジオに語った。

 一方、ウィリアム・ヘイグ(William Hague)英外相は25日、シリアが国連の調査を認めた後の記者会見で、シリア政府が科学兵器を使用した証拠は「砲撃で既に失われている恐れがある」と述べた。

 これらの動きに対し露外務省は26日、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)露外相が前日にケリー米国務長官と電話会談したと発表した。この会談でラブロフ氏はケリー氏に対し、軍事介入の準備ができていると示唆した米政府の公式発表にロシア政府は「深く警戒」しており、「新たな軍事介入は中東と北アフリカ全域に非常に危険な結果をもたらす」と伝えたという。(c)AFP