【8月22日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)が行っていた米国民の電子通信情報を収集する極秘プログラムが、2011年に裁判所によって違法との判断が下された後に中止されていたことを米当局が21日、認めた。

 NSAによる違法な情報収集は、外国情報活動監視裁判所(Foreign Intelligence Surveillance Court FISC)が機密解除した文書で明らかになった。同裁判所は、当局による情報収集プログラムの合法性を審査する機関で、通常その決定は極秘扱いとされている。しかし米当局は、情報収集プログラムが厳しい「監督」の下で運営されていることを示すため文書公開に踏み切ったとしている。

 2011年に同裁判所が違法と判断した情報収集プログラムでNSAは米国内の光ファイバー網を流れる大量の国際通信データを収集し、外国の通信をふるいに掛けていたとされる。

 だが、国家情報長官室(Office of the Director of National Intelligence)が公開した文書の中で同裁判所は、NSAはテロ容疑者と関連のない米国民の間で交わされる電子メールを分別することができず、結果として年間数万件もの「完全な国内通信」を収集していたと指摘。このプログラムが合衆国憲法修正第4条で保障されているプライバシーの権利を侵害していたとの結論に達した。

 米政府はこれを受け、プログラムに修正を加え、裁判所に承認を求めた。匿名を条件に取材に応じた政府高官は、この違法な情報収集活動について「NSAが情報収集の対象を広げすぎたというよりも技術的な問題の結果だった」と説明。公開された文書は「このプログラムに対する強固な監督体制」を示すものだと述べた。

 一方、人権活動家らからは、この情報収集プログラムについて国民が安心できるように、政府は一層の努力が必要だという声が上がっている。(c)AFP