【8月17日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)による情報収集活動が、プライバシー保護規定の違反を数千回にわたり繰り返していたことが、内部監査報告書で明らかになった。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は以前より、NSAの電子情報収集プログラムは厳しい規則や司法当局による審査の下に運用されていると説明し、乱用防止と米国民の人権保護を誓約していたが、規定違反の事実が明らかになったことで、オバマ氏の言葉に新たな疑問が投げかけられている。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)がNSAの文書と内部監査報告書を引用して報じたところでは、NSAはプライバシー規制に数千回も違反し、他の政府機関に情報を知らせない場合もあったという。同紙の報道は、米当局が個人の電話記録やインターネット通信の情報を極秘に収集していた事実を暴露して訴追されたNSA元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が漏えいした文書を基にしている。

 NSAはこの報道について、複数の「間違い」があると指摘して事態の収拾を図った一方で、議員たちはプライバシー侵害の全容を明らかにするための公聴会を開くことを明言、人権擁護活動家たちは怒りを表明している。

 ワシントン・ポストによると、2012年5月付のNSA内部監査報告書では、2011年に行われた通信情報の収集・保存・配布において、NSAが権限を逸脱した事例が2776件あったと指摘されていた。その大半は逸脱の意図がないものであったが、少なくとも1件ではNSAが裁判所命令に違反していた。

 米上院情報委員会(Senate Intelligence Committee)のダイアン・ファインスタイン(Dianne Feinstein)委員長はこの内部監査報告書について、ワシントン・ポストからの問い合わせがあるまで受け取っていなかったと述べている。(c)AFP/Daniel DE LUCE