【8月14日 AFP】イスラエルは13日、先月3年ぶりに再開したパレスチナとの和平交渉の2回目の協議を数時間後に控え、先に約束していたパレスチナ人受刑者26人の釈放を開始した。  

 今回釈放の対象となったのは、これまで長期間にわたって収監され今後段階的に釈放されることが決まったパレスチナ人受刑者104人のうちの最初の26人。この受刑者の釈放は、米国の仲介によるおよそ3年ぶりの和平交渉再開の前提条件の一つとして、パレスチナ側が要求していた。  

 AFP記者によると、この26人の受刑者は2台のバスに分乗、テルアビブ(Tel Aviv)近郊のアヤロン(Ayalon)刑務所を13日遅くに出発したという。そのうち15人を乗せたバスはガザ地区(Gaza Strip)北部へつながるエレツ(Erez)検問所へ、もう1台はヨルダン川西岸(West Bank)のラマラ(Ramallah)へ向かったとされる。

■一方で新規住宅建設承認も  

 しかしこの直前にイスラエルは、パレスチナが将来の独立国家の領域と位置付けている土地に、新たなユダヤ人入植住宅の建設を承認しており、14日に予定されている和平交渉の協議には開始前から暗雲が垂れ込めている。  

 イスラエル当局は13日、東エルサレム(East Jerusalem)に新たに942戸の入植住宅の建設を承認したと発表した。これを受けて、和平協議を翌日に控えたパレスチナ側は、激しい怒りをあらわにしている。  

 エルサレム市は、東エルサレムの入植地ギロ(Gilo)で新住宅の建設を進める最終承認は確かに今になったが、これらの住宅はすでに長期にわたって計画段階にあったものだと釈明した。  

 これに対しパレスチナ解放機構(PLO)のヤセル・アベドラボ(Yasser Abed Rabbo)事務局長は、11日に東エルサレム内の他の場所とヨルダン川西岸の入植地で新たに約1200戸の住宅建設が承認されたことも併せ、「このような入植地拡大は過去にも例がない」とし、「和平交渉の協議は開始前からすでに崩壊の危機にある」と述べた。前回2010年の和平交渉も、入植地の住宅建設問題をめぐって決裂している。  

 和平交渉再開に向けた合意の際に中心的役割を果たしたジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は12日、パレスチナに対し、イスラエルが11日に発表した住宅建設に「不利になるような反応はしないよう」呼び掛け、次回協議の場にイスラエル・パレスチナの双方が戻ることの重要性を強調した。(c)AFP