【8月6日 AFP】トルコでイスラム系政府の転覆を計画したとして275人が訴追され注目を集めていた事件で、同国の裁判所は5日、イルケル・バシュブー(Ilker Basbug)元参謀総長らに終身刑を言い渡した。これに憤慨した市民らが街頭で抗議活動を行い、警察と激しく衝突する事態に発展した。

 被告らは、秘密の「テロ組織」への加入や放火、武器の不法所持、2002年に政権を掌握したレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相と同氏が率いる公正発展党(AKP)に対する武装蜂起の扇動など、数十の罪に問われていた。このうちバシュブー元参謀総長と数人の軍高官に加え、記者1人と弁護士1人に終身刑、またその他の被告の大半に長期刑が宣告された一方で、21人については無罪が言い渡された。

 厳重な警戒網が敷かれたイスタンブール(Istanbul)近郊シリブリ(Silivri)の同裁判所の外では、審理の間に緊張が高まっていた。現地で取材していたAFPカメラマンによると、判決の宣告後に同裁判所付近で警察と約1万人のデモ参加者の間で激しい衝突が発生したという。裁判所のそばの高速道路の通行を遮断していたデモ隊が機動隊に向かって投石すると、機動隊は放水銃や催涙ガス、ゴム弾で応酬した。

 この裁判は、エルドアン首相の10年を超える統治の間に高まってきた、世俗派及び軍部の反体制派と、イスラム系のエルドアン政権との最終対決の鍵を握る試金石とみなされていた。(c)AFP/Nicolas CHEVIRON