【7月29日 AFP】28日に投開票が行われたカンボジアの総選挙で、長期政権を維持しているフン・セン(Hun Sen)首相(60)率いる与党カンボジア人民党(Cambodian People's PartyCPP)が勝利した。ただ広範囲にわたる不正が指摘され、野党の躍進も目立った。

 公式な結果はまだ発表されていないが、CPPが下院123議席中68議席を獲得する見込みだ。これまでの90議席から20議席以上も失うことになる。選挙当局は、公式な結果がまとまるまで数週間かかる見通しだとしている。

 28年間も権力の座にあるフン・セン氏は、74歳になるまで国を統治すると話しているが、人権抑圧や政敵を排除しているなどとして批判を受けている。

■選挙違反に批判

 野党はカンボジア史上最悪の不正選挙だったと指摘した。選挙人名簿に記載されていなかったため投票できなかった有権者がいたほか、投票所に行ったところ何者かがその人物になりすましてすでに投票していたことが分かった有権者が数千人もいたという。

 今回の選挙では約960万人が有権者登録したが、現地の選挙監視団体「Committee for Free and Fair Elections in Cambodia」は、最大で125万人の有権者が選挙人名簿に記載されていなかったと発表した。

 首都プノンペン(Phnom Penh)では、ある投票所で選挙人名簿に名前が書かれていなかったことに怒った群衆が警察車両2台を破壊する騒ぎにまで発展した。

 世界各国の腐敗実態を監視する非政府組織(NGO)、トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)カンボジア事務所長は、「自由で公正な選挙が行われたとは言えない」と語った。(c)AFP/Suy SE