【7月19日 AFP】パナマ運河(Panama Canal)を通過しようとした北朝鮮籍の船からミサイルの部品などが見つかった問題について、ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research InstituteSIPRI)の不法貿易問題の専門家は17日、これまで隠ぺいされてきた北朝鮮のバーター貿易の一例だとの見方を明らかにした。

 SIPRIの不正取引対策の専門家ヒュー・グリフィス(Hugh Griffiths)氏によると、押収されたミサイル部品と考えられる貨物が、大量の砂糖の袋の下に隠されていたということが重要だという。

 グリフィス氏は今回の件について、国連(UN)に科された武器禁輸を含む制裁に違反して、北朝鮮が兵器の修理を請け負う見返りに日常的な食料品を得るという、同国にとっては不可欠で、(国際社会にとっては)未確認の大規模なバーター貿易が行われていることを示している可能性が高いと指摘した。「バーター貿易は大半が見過ごされている。注目が集まるのは、北朝鮮の核戦力や弾道ミサイルの攻撃力だ。しかし、北朝鮮の対外貿易の大半は、実際には少数の国との通常兵器の取引が占めている」

 また、北朝鮮の貿易相手国はこれまで、北朝鮮ほどには孤立していないものの困窮しており、独裁に近い体制下に置かれてきたミャンマーやエリトリア、イエメンで、「そうした背景からこれらの国は対外貿易が必要で、北朝鮮側には軍民両方で機械を操作できる技術者がいる。従って、(これらの国は)北朝鮮に最適の取引相手だ」と語った。

 さらに同氏は、「北朝鮮はこの手の貿易を隠ぺいする名人で、信用ある船会社が輸送するコンテナに、船会社自体、実際に何が入っているか分からない貨物を入れて輸送している」と説明した。

 こうした貿易をやめさせる最前の方法は、より効果的な制裁を科すために情報共有と国連加盟国間の協力を強化することだという。ただし、「加盟国すべての同意を得るのは難しいかもしれない」と付け加えた。(c)AFP