【7月16日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は15日、米当局の市民監視プログラムを暴露した米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者(30)をモスクワ(Moscow)から動けなくしているとして、米国を批判した。

 同大統領は、「どこかへ移動するチャンスがあれば、彼(スノーデン元職員)は直ちに動くだろう」と話した。同元職員が12日にロシア政府が管理運営するシェレメチェボ(Sheremetyevo)空港で複数の人権活動家や弁護士と協議を行ってから、同大統領が公の場で発言するのはこれが初めて。

 プーチン氏はテレビ放送された談話の中で、「彼(スノーデン元職員)は招かれてもいないのにわが国の領土に降り立った。それもわが国を目指して飛んできたわけではなく、他国へ行くため乗り継ぎで着いただけだった。しかし後に分かったことだが、彼が飛行機に乗り込むや否や、米国は彼がそれ以降先へ飛べないようにしてしまった」と語った。

 同元職員はこれからどうなるのかという質問を受け、同大統領は「どうして私に分かるだろうか?これは彼の人生であり、彼の運命なのだから」と答えた。

 しかしプーチン大統領は、スノーデン元職員が姿勢を変化させていることも認識している。同元職員は12日、中南米への移動が可能になるまでロシアへの亡命を希望していることを明かした。これに対し同大統領は、今や世界で最も有名な逃亡者となったスノーデン元職員の亡命を受け入れるのか、そうだとすればいつなのかについては意図的に言明を避けた。

 9月初旬にモスクワ(Moscow)で行うバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領との米露首脳会談に続き、サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議を控えているプーチン大統領は、同元職員の問題で米国との関係悪化は避けたい考えを改めて強調した。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO