【7月11日 AFP】エジプト検察当局は10日、ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領の出身母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」の最高指導者、ムハンマド・バディア(Mohammed Badie)氏と複数の幹部らに対し、首都カイロ(Cairo)で50人以上が死亡した8日の衝突を扇動した容疑で逮捕状を出した。司法筋が明らかにした。

 8日の衝突では、共和国防衛隊(Republican Guard)本部前でモルシ氏の復職を求めて抗議していた同氏支持派のデモ隊が銃撃を受け、保健省によると53人が死亡、480人が負傷した。死者の大半はデモ隊だった。

 同胞団側は、軍と警察が早朝の祈りをささげていた同胞団メンバーらを「虐殺した」と主張し、死者の中には女性や子供も含まれていると訴えている。一方、軍は「武装したテロリストら」から攻撃を受けたため反撃したと反論している。また、保健省は死者に女性や子供が含まれていたという同胞団の主張を否定している。

 8日の衝突を受けてイスラム主義者らの間にはモルシ氏解任への怒りが広がっているほか、エジプト国内で暴力事件が相次いでいる。 

 カイロのナスルシティー(Nasr City)では、ラバ・アルアダウィヤ(Rabaa al-Adawiya)モスク周辺で多数のモルシ氏支持派が犠牲者を追悼する座り込みの抗議デモを行っており、前大統領の復職が実現するまで続行すると宣言している。

 拘束されたモルシ氏の所在について、外務省報道官は「安全な場所にいる」「現在のところ、いずれの罪にも問われていない」と報道陣に説明した。(c)AFP/Simon MARTELLI