【7月7日 AFP】ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞したモハメド・エルバラダイ(Mohamed ElBaradei)国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)前事務局長(71)がエジプト暫定首相の有力候補になっている。大統領府が6日、明らかにした。

 イスラム主義組織出身で、エジプトで初めて選挙で選ばれたムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)大統領は3日、軍によって政権から排除された。モルシ氏の排除につながった大規模な抗議行動を組織した反政権団体「Tamarod(反乱)」は、「アドリ・マンスール(Adly al-Mansour)暫定大統領がエルバラダイ氏に組閣を命じた」という声明を出した。

 カイロ(Cairo)のタハリール広場(Tahrir Square)や大統領府のあるイッティハーディーヤ(Ittihadiya)宮殿周辺にいた反モルシ派の人々は、エルバラダイ氏が暫定首相に任命されたという知らせを聞くと歓声を上げ、爆竹や車のクラクションを鳴らしたり国旗を振り回したりして喜びを表した。7日に開催するイスラム主義者に対抗するデモへの参加を呼びかけているTamarodは、エルバラダイ氏を軍との交渉における同団体の代表に任命していた。

■「正式任命はまだ」と大統領府報道官

 エジプト半国営の中東通信(MENA)や複数の政府関係筋がTamarodの声明内容を確認したが、その後、大統領府報道官がエルバラダイ氏はまだ正式には暫定首相に任命されていないと報道内容を否定した。しかし同報道官は、エルバラダイ氏は人選の議論の中で「最有力の候補者になっている」と述べた。

 これに先立ち、モルシ大統領の支持母体であるムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)は、モルシ大統領を復職させるようあらためて軍に要請していた。

 エルバラダイ氏は2005年、国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)事務局長としての功績が認められてノーベル平和賞を受賞した。2010年にエジプトに帰国し、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領政権を打倒した2011年の反政権運動の中で注目を集める存在になっていた。(c)AFP/Samer Al-Atrush, Sarah BENHAIDA