【7月5日 AFP】軍によりムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領が解任され政権が崩壊したエジプトでは、5日までに軍が声明を発表し、モルシ氏支持派の計画している抗議デモについて静観する姿勢を見せているが、その一方で報復行為に対しては断固たる態度で臨むと警告した。

 軍は声明のなかで「平和的な抗議デモを行う市民の権利を支持する」としながらも、暴力や道路封鎖といった「市民的不服従」の行為については「社会の平和を損なうもの」として警告した。

 エジプト軍がフェイスブック(Facebook)上で発表した声明によると、モルシ派の抗議集会に先立ち、すでにナイルデルタ(Nile Delta)ではモルシ派と反対派の衝突が数回起きており、負傷者も出ているという。

 情勢が不安定なシナイ半島(Sinai Peninsula)でも5日早朝、警戒にあたる兵士や警察官に対する襲撃が各地で発生した。一連の攻撃では兵士1人が死亡している。武装グループはまた半島北部の空港も襲撃したという。詳細は不明。

 モルシ氏が4日に大統領の座を追われて以降、イスラム主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」幹部らの身柄が相次いで拘束されている。最高指導者ムハンマド・バディア(Mohammed Badie)氏も「抗議デモ参加者らの殺害を扇動した」として拘束された。国営テレビによると、同胞団元最高指導者のムハンマド・アキフ(Mahdi Akef)氏も拘束されているという。

 モルシ氏の身柄については軍幹部が4日、「予防的に拘束している」とAFPに明らかにしている。前大統領は裁判にかけられる可能性もある。(c)AFP/Samer al-Atrush, Sarah BENHAIDA